ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2007年08月21日
 therapybbc.jpg

 かわいらしく生まれなかったことは不幸であり、もてないことが苦痛であるとすれば、そう定められた世界を憎み、呪うこともやぶさかではないだろう。もちろん、それを(今日的な意味で)ルサンチマンと呼んでも構わないが、この場合ルサンチマンの背後には、ロマンティック・ラヴ・イデオロギーへの反発があって、ロマンティック・ラヴ・イデオロギーのバックボーンを突き詰めていくと、キリスト教的な文化があるとしたら、かの宗教と関わりの深い北アイルランド出身のTHERAPY?が奏でる恨み節は、(あくまでも本質的な意味で)ルサンチマンにかかっているといって良い。「くそ野郎、おまえに友だちなんているわけないんだ。定職もねえし、彼女もいない。だから、おまえは自分を安物だと言い、それは俺もいっしょだとか言いやがる」と、まあ、これは92年のファースト・アルバム『NURSE』に収められた「ACCELERATOR」の歌詞を意訳したものであるが、しかし、こうしたモチベーションをほとんど崩すことなく、89年の結成から現在まで活動を続けていることに、しびれる。同世代であるアメリカのグランジ勢、あるいは、かつてイギリスのシーンのなかで連帯していたMANIC STREET PREACHERSらの現況を鑑みれば、それはなおさらのことだ。そのTHERAPY?の、ジョン・ピール・セッション等の音源をまとめた2枚組が、『MUSIC THROUGH A CHEAP TRANSISTOR THE BBC SESSIONS』である。ディスク1には、初期の頃の、つまりはノイジーでパーカッシヴなナンバーが、ディスク2には、94年の『TROUBLEGUM』以降のメロディアスでポップな路線のものが、それぞれ収められている。アルバムのヴァージョンと比べると、どの楽曲も、演奏はラフであり、整合性を欠くが、しかし、それが翻って、やけっぱちで前のめりな疾走感を、より激しく強調するに至る。厚みがなく、シンプルな録音のなかで、頼りなく歪んだギターのリフは、アンディ・ケアンズの無愛想なヴォーカルと相俟って、殺伐というに相応しいフィーリングを練り上げる。録音時期は違えども、全編を貫いているのは、アグレッシヴなハードコア・パンクを脱臼させたような、独自のノリに他ならない。JOY DIVISION「ISOLATION」(これは『TROUBLEGUM』でも披露されている)やハンク・ウィリアムス「LOST HIGHWAY」(これは現在交流のあるTHE WILDHEARTSもやっていた)も、原曲よりずいぶんダイナミックなニュアンスでカヴァーされ、そこによく馴染んでいる。「MISERY」の、いかにもこのバンドらしい「HERE COMES THE MISERY」というネガティヴなフレーズに続く、あの印象的な「イエーイエーイエー」というパートは、残念ながら聴くことはできないけれど、それはこちらで勝手に補完させてもらおう、イエーイエーイエー。

 『ONE CURE FITS ALL』について→こちら
 『NEVER APOLOGISE NEVER EXPLAIN』について→こちら

 バンドのオフィシャル・サイト→こちら
posted by もりた | Comment(1) | TrackBack(0) | 音楽(07年)
この記事へのコメント
まだやってたのか!!!
Posted by tag at 2007年08月22日 22:47
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