ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2007年08月04日
 革命家の午後 (Fx COMICS) (Fx COMICS)

 松本次郎のマンガに登場するのは、たいてい、エキセントリックと見なしうる人物ばかりなのだが、しかし彼らは、けっして縁遠い存在に感じられず、むしろ身近に、とても人間らしい相貌をしているふうに思える。そして、織り成される愛憎は、じっさい陰鬱なものでありながらも、なぜか、こちらの気分を暗くはしない。だからといって、明るくするというのでもない。ユーモアでもってすくいあげられた悲哀が、作中のあちこちで、不思議な色の花を咲かせており、そこから作者固有の魅力が匂ってくる、のだと思う。この作品集『革命家の午後』に収められている五つの篇にも、それは通底していて、おのおの舞台や設定は異なれど、どれもが、じつに松本次郎らしいテイストにあふれている。いま、舞台や設定は異なる、といったけれど、ごく日常的な風景と非日常的な状況が隣り合わせで配列されているかのような、そういう世界観はすべてに共通して在り、無慈悲に人が殺され続ける一方で、安寧で怠惰な毎日が繰り返し続いてゆくという、この併置はつまり、現実と、夢や理想や妄想とを、シームレスで描いている、と言い換えられるわけだが、そうして、確たる帰属先を持たず、宙づりで、ただ生と死のあいだをおろおろするしかない、矮小で滑稽な人間の像がかたちづくられており、こちらの親近感も、ほとんどそこに一致している。というわけで、間抜けで坊ちゃんくさい主人公の哀愁を描いた「革命家の午後2」や、現代を真面目に生きようとする吸血鬼の災難をめぐる「竹山君の日常」などが、とくにおもしろかった。殺伐とした戦国時代を、肩から力の抜けたテンションで捉まえ、最後は意外としんみりする「雑兵敗走記」も良い。

 「Hale no sola sita」について→こちら
 『ゆれつづける』について→こちら
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ(07年)
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