ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2007年07月28日
 高校デビュー 9 (9) (マーガレットコミックス)

 あ、晴菜のモテ期ってまだ続いてたんだ。意外な伏兵あらわる。いやいや、思わせぶりに登場した新入生男子三人が、あんがい肩透かしな扱いに終わってしまったところで、ここか、ここでこの人がこういうふうに三角関係的な展開を物語に持ち込むのかあ、と、河原和音の『高校デビュー』9巻を読む。いわゆるラブコメの体でつくられる作品に、三角関係が導入されがちなのは、それが恋愛のドラマをつくるのに都合が良いという以前に、恋愛そのものが、三角関係に近しい状況下における他者と固有性の問題にかかっている、と考えられるからであろう(あの、欲望とは他者の欲望を欲望すること、とかいうやつね)。つまり、なぜ私は彼でなければならないのだろう、なぜ彼は私でなければならないのか、式の問いを乗り越えていった先でしか、この気持ちは本物に違いない、という思いなしは得られないためである。さらにいえば、この巻で、いきなり噛ませ犬の役割を背負わされたヨウの親友朝丘が、晴菜に〈ねえ晴菜ちゃん あの時晴菜ちゃんの靴をひろったのがオレだったら 晴菜ちゃんはオレにコーチを頼みにきたのかなオレを好きになったのかな?〉と言うように、もしもふたりが付き合っているのが偶々のことであったならば、その絶対性は揺らぐ。すなわち、こうした三角関係ふうの危機こそが、両想いの真偽を確かめることになるのであって、ドラマティックなモーメントはむしろ、それに付随する条件のひとつに他ならない。と、まあ、これはやや図式めいた見方ではあるけれども、晴菜とヨウのカップルにおいて、以前までは、ヨウがハンサムなせいで、晴菜の側がハラハラする傾向が強かったのが、ここ数巻のうちに、両者の立場が逆転している、要するに晴菜の周辺について、ヨウの側のヤキモキする機会が増えているのは、これが、ともすれば自己完結に終わりかねない片想いの緊張ではなく、双方向の結びつきを正当化し、定着させる、すくなくとも、そういう試みをもって描かれていることの必然だといえる。

 第8巻について→こちら
 第7巻について→こちら
 第6巻について→こちら
 第3巻について→こちら
 第2巻について→こちら
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ(07年)
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