ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2007年07月20日
 Walkin’Butterfly 3 (3)

 もちろんのとおり、この世には、がんばれば必ずや報われる、という絶対的な保証なぞはどこにもなく、ただ、がんばれば報われるかもしれない、という僅かばかりの可能性があるにすぎない。たまきちひろ『WALKIN' BUTTERLY(ウォーキン・バタフライ)』の3巻は、やや都合がいいととれなくもない展開が続くが、しかし、主人公にうだうだと悩まれるよりはよっぽどマシなのであって、じっさいテンポよく物語は進むし、男の子に意地があるように、女の子にも意地があるんだよ、といわんばかりの熱さを引っ張ってきている。病に臥せった多湖が〈だから? たどりつかないと知りながら続けるの? 悪いけどあたしはあなたほどロマンチストじゃないわ〉と消極的な発言をするのに対して、主人公のミチコは〈けどな先がなかろうがなんだろうが終わった人間よかずっとマシだよ おまえなんかいなくたって……ひとりでなんとかしてやるよ!!〉とくってかかり、そうして得られたガッツが、挫折に囚われないスピードで、彼女の行動を、ぐいぐいリードする。このマンガは、たしかに、特殊な業界を舞台にした立身出世を、基本的なプロットにしているけれども、主人公に内在する唯一無二の天才性によって、それがフォローされているわけではない。むしろ、資質は備わっていたとしても、たとえば何人かの登場人物たちに、不向き、だと指摘される、そういう他人からの期待が少ないところから、主人公が、がんばり、這い上がっていく、要するに無価値だとされていた者が、ほとんど独力で、他人に認められ、求められる過程を捉まえている。それが端的なのは、仇敵である三原に、試着モデルの代役を頼まれ、こなし、重要なショーに起用されることが決まるくだりで、かつてはあれだけ邪険にされていた彼に〈情じゃないですよ プロとしての心構えを認めたんですよ〉と思わせたことこそが、ここまでにおける最大の成果だといえよう。そうやって得た貴重なチャンスを目前に、長らく心の支えにしてきた錦野センパイが結婚すると知って、バイクにまたがり自分探しに出てしまうのは、またかよ、おまえ、ってなもんだが、いや今度はちょっと様子が違い、誰かの慰めや励ましではなく、為すべきことを為すためのつよい決意に支えられ、彼女は、宿願のランウェイを目指し、歩きはじめる。

 2巻について→こちら
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ(07年)
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