ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2007年07月15日
 母子家庭、いじめ、性的なトラウマ、摂食障害、といった諸々のあざといテーマを扱いながらも、くりた陸の『給食の時間』は、この1巻を読むかぎり(とはいっても一話ぶんしか収められていないのだが)、とても爽やかな印象を寄越す。そのへんは、不登校というやはり今日的なトピックを扱った同作者のマンガ『いってきます』が、ただ暗いばかりの通俗的な話になってしまったのとは、対照的でさえある。諸般の事情から、祖母のいる田舎に預けられ、地元の小学校に通うことになった鳥谷未来は、元気にふるまう態度とは裏腹に、子供には重たすぎる悩みを抱え込んでいた。祖母のところの下宿人であり、未来の転校先で給食室の管理を任されている栄養士の藤川健は、彼女の食が細いのを心配するのであったが、〈いいの / 長生きなんかしたくないから〉という拒絶の一言に、かつて犯した自分の過ちを重ねる。要するに、このような二人の出会いが一個の中心としてあり、そこから複数の人間関係が点々と打たれていき、そうした点と点とを繋ぐ線によって、あたたかなドラマが描かれているわけだけれど、それというのはつまり、登場人物のべつの登場人物に対するポジティヴな働きかけの、その連鎖反応がよく捉まえられていることでもある。まあ、今後にどう話が転がっていくのかは不明だとしても、ヴォリュームのある良質なワン・エピソードとして、十分に読める。一方、ここに併せて収められている読み切り「ハーモニーをきみに」は、落ちこぼれ男子高校生たちが合唱部への参加を通じて成長する、といった内容であるが、こちらは、複数の登場人物たちのディレクションがうまくいっておらず、焦点の定まっていないせいで、三文芝居的な安っぽさが勝ってしまった。

 『オレの子ですか?』5巻について→こちら
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ(07年)
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