
UKハード・サウンドのシーンでは、もはや中堅といっても差し支えのないA(エー)であるが、4作目にあたるこの『TEEN DANCE ORDINANCE(ティーン・ダンス・オーディナンス)』は、そのキャリアをいっさい無駄にしない、懐の深さを感じさせる、万遍なくポップで騒がしい、渾身の内容となった。このバンドには独特のテンポというか「間」があるように思う。音の重たさは、あきからにアメリカのそれを意識しながらも、殺伐としたりダークに落ち込んだりがなく、だからといって、燦々と明るくカラッカラに乾くのでもない、演技過剰なエモーションを脇に除けながら、ひじょうに健康的なフィーリングでもってウェットなウェーヴを発している。その点は相変わらずである。が、しかし、テリー・デイトによるプロデュースとの相性はそれほど良くなかった気がしないでもない。ギターとドラムが全体的にガシャガシャし過ぎている風に聴こえる。作風としては、ファストにぐんぐん飛ばすというよりは、前作に収められた「ナッシング」によって発露した重厚さを、さらに拡張させたラインであるので、必然的にそうなったのだろうけれども、たしかに11曲目のような高揚感をともなうナンバーにはよく似合っているのだが、でも5曲目のようなメロウにしなるナンバーだと少しうるさく障る。そのあたりは弱点であるかもしれない。とはいえ、やっぱりAというバンドのポテンシャルは並ではない。それがよくわかるのは、過去のナンバーのフレーズを流用しながらもまったくべつの印象を浮かび上がらせる2曲目と、ラップに似せた押韻を繰り返しつつメロとエモとをコアに繋ぎ合わせる4曲目などだろう。そのあたりにおける情報処理能力は、他ではなかなかお目にかかることのない、高度なレベルのものだし、それが気取らず気張らず、あくまでも自然体で行われていることは、演奏のキレの良さから十二分に伝わってくるのであった。綻びがない。
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