ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2018年07月26日
 群青リフレクション 2 (りぼんマスコットコミックス)

 酒井まゆの『群青リフレクション』は、その特徴を一つ挙げるなら、芸能活動に身を置く高校生を描いていることなのだったが、最大の魅力となっているのは、ヒロインである柊心晴の無邪気な明るさなのではないかと思う。〈私立船越高校 全8クラス中2クラスが芸能科で レベルはまちまちだけど 芸能界に片足やら両足やらつっこんでる子が通っています 一応 私もその1人なんだけど−−〉という心晴の言葉には、自分がまだ全然売れていないことの気後れが含まれていて、確かに有名人が多数を占めるクラスのなかでは、一般的な生徒の立場に等しい。しかし、ほとんど無名であるにもかかわらず、いじけずに目標へ向かう積極性だけは誰にも負けてはいなかった。

 心晴(こはる)の目標、夢とは何か。それは子供の頃に観た映画でスクリーンに出ていた子役の少年と、いつか巡り会うことだった。その演技に励まされるものがあったからだ。励まされたことに対し、感謝の気持ちを伝えたいからだ。映画の名前はインターネットの検索に引っかからず、子役の名前も知らない。だが、演技の仕事をしていたら、きっと顔を合わせることができるのだと信じている。心晴はスターダムを掴むことになるのかもしれないという期待がストーリーの土台にはある。他方、芸能人でもあるクラスメイトとの恋模様がストーリーの柱を支えている。若手イケメン俳優としてブレイクしている幼馴染、紺野景悟が心晴に抱いているのは、紛れもなく恋愛感情であろう。そして、華はあるのに素性が謎めいているクラスメイト、芹沢漣もまた心晴と距離を縮めていく登場人物である。芹沢は、もしかしたら彼こそが心晴の憧れている子役だったのではないか、と読者に想像させる役割を担っているのだけれど、これまでのところ、芸能活動に熱心ではなさそうな素ぶりを見せるばかりで、正体も明かされない。

 ヒロインと2人の男子を三角関係の図式に当てはめることは、もちろん可能だ。紺野と芹沢は、いずれ恋愛の面でも仕事の面でもライヴァルのような衝突を起こすはずだと予感させる。が、ロマンスの要素は、現時点で、さほど強くない。2巻の段階で気にかけておきたいのは、芸能活動というよりも学園生活のなかで心晴はヒロインらしい活躍を果たしていることである。心晴の無邪気な明るさは、おそらく、芸能活動の厳しさや世間からの注目をまだ負っていないという未熟な面によっている。もしも心晴が芸能活動での成長を求められるようになったとしたら、それがいかに変化するのか。しないのか。今後の展開に左右される部分は大きい。

・その他酒井まゆに関する文章
 『キミとだけは恋に堕ちない』3巻について→こちら
 『MOMO』
  7巻について→こちら
  3巻について→こちら
  1巻について→こちら
 『クレマチカ靴店』1話目について→こちら
 『ロッキン★ヘブン』
  8巻について→こちら
  7巻について→こちら 
  6巻について→こちら
  4巻について→こちら
  3巻について→こちら
  2巻について→こちら
  1巻について→こちら
posted by もりた | Comment(0) | マンガ(2018年)
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: