ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2007年06月27日
 「呪街」と呼ばれるそこには、憎み、呪う、たったそれだけのことで他人を殺害しうる能力を持つ異能の人びと(作中では呪力者といわれている)が、年齢や性別を問わず、行政によって保護され、秘密裏に隔離されている。まれに「呪力」をコントロールできるものもあるが〈ほとんどはダダ漏れ 無自覚に死をまきちらす〉、つまり一般の社会からすれば受け入れがたく、忌むべき存在だからである。惣本蒼が、マンガ『呪街』に描くのは、そうして普通に暮らすことを許されぬ人びとが、それぞれ、さまざまな思惑によって繰り広げる、まさに生き残り戦的な状況だといえる。物語は、ふたりの主人公(ヒロイン)を、まったく無縁な位置に立て、べつの角度から「呪街」の存在を見据えつつ進むが、この1巻の段階では、場面転換以上の効果をもたらしていない。しかし作中に漂う不穏な空気は、複数の登場人物たちが抱える宿命の、いずれ交錯する予感をにおわせ、今後の展開に期待をかけさせる。ところで、たとえば、の話であるが、たとえば「私(僕)っていったい何で、どうして生きているのか」と問いかけるだけで、自分を特別だと見なせるのであれば、それはそれで幸福なことであろう。しかし、そのような悩みを抱える人間を、たとえば百人集め、ひとつの空間に押し込めたとしたら、むろん、先ほどと同様の条件で自分を特別だと見なす権利は剥奪され、等しく凡庸な群れができあがるのに違いない。では、そこからさらに各人が、その固有性を回復させようとするとき、いったい何を要するのか。『呪街』を読みながら考えたのは、たとえば、そんなことであった。
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ(07年)
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