ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2018年03月21日
 TOUGH 龍を継ぐ男 8 (ヤングジャンプコミックス)

 父殺しのテーマが内在しながら父殺しを果たせずに連載が長期化した結果、作品の方向性にぶれが出てしまったという(格闘マンガである以外の)共通点を猿渡哲也の「タフ」シリーズと板垣恵介の「バキ」シリーズは持っているわけだ。この『TOUGH 龍を継ぐ男』は、『高校鉄拳伝タフ』及び『TOUGH』のその後を描く。シリーズの直接的な続編となっている。いや、確かに主人公は一新されてはいるものの、やっていることは先の頃と大きく変わらない。宮沢静虎と宮沢鬼龍の双子、あるいは彼らの兄である宮沢尊鷹を合わせた宮沢一家の因縁に翻弄される人々の様子が延々と映し出されているのである。『高校鉄拳伝タフ』と『TOUGH』においては、静虎(オトン)の息子、宮沢熹一(キー坊)が一応の主人公ではあった。それが『TOUGH 龍を継ぐ男』では、鬼龍の息子、長岡龍星に主人公をスイッチしている。スイッチしてはいるけれど、熹一も出てくるし、むしろダーク・サイドに落ちた熹一の物語であるようなところがある。実際、6巻と7巻は、龍星そっちのけで、なぜ熹一がダーク・サイドに至ったのか。回想をメインのエピソードにしていたのであった。そして、再び現在に話を戻しての8巻なのだが、まあ、ほとんどの見せ場は、やっぱり静虎と熹一に持っていかれ、過去の亡霊のごとく尊鷹やガルシアも出てくるよ、といった展開が訪れている。ガルシアは、人工授精によって鬼龍の遺伝子を受け継いでいるというのが『高校鉄拳伝タフ』の設定だった。前述した通り、龍星も鬼龍の血を引いており、龍星の他にも『TOUGH 龍を継ぐ男』には鬼龍の子供とされる人間がわんさか出てくる。そのため、裏社会や米軍まで関与しているにもかかわらず、登場人物の大半が宮沢一家の関係者で占められる異常な事態が発生しているのだ。鬼龍の正統な後継者は誰なのか。これが『TOUGH 龍を継ぐ男』の重要な柱ではある。しかし、それは同時に、果たされなかった父殺しのもたらした迷走を含んでいるように思えなくもない。

・その他猿渡哲也に関する文章
 『Rūnin』2巻について→こちら
posted by もりた | Comment(0) | マンガ(2018年)
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