ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2007年06月24日
 塀内夏子の『イカロスの山』は、この8巻で、ここまで読んできた人間にしたら、やっぱり、というか、これ以外にはないだろうな、といったほうへと展開する。つまりは、平岡と三上のコンビのうち一方が、8000メートルの頂と地上とのあいだで、欠ける。ああ、しかし、予測がついていながら、どうして、こんなにも動揺させられるのだろうか。おそらくは、残された側のエモーションによって、取り返しのつかないことのすべてが、けっして取り返しのつかないこととして、発覚させられるためである。そしてそれは、登場人物たちの口からは明言されず、だからこそ物語の基盤を支えてきたテーマと合致する。〈もしもザイルを切らなければならなくなったら?〉〈このままじゃ二人とも凍りついて死ぬということになったら その時は?〉。出された答えが、残された者を納得させないとき、ほんとうに、すべて取り返しのつかないことなのか、を確認すべく、物語が続けられるのは必然だといえる。〈おれは……確かめに行くのか……おまえの……死を? それとも生を!?〉。こうした行動の先に訪れるものが、幸か不幸のどちらであれ、当事者は自分で自分を納得させるために、そうせざるをえない。これは登山というケースにとどまらず、まちがいなく、人生を捉まえる視点に立ったところからやって来ており、そのことの結末を見届けたいがゆえに、こちら読み手は、これから先も物語を追いかける。

 7巻について→こちら
 5巻について→こちら
 4巻について→こちら
 3巻について→こちら
 2巻について→こちら
 1巻について→こちら

 『雲の上のドラゴン なつこの漫画入門』について→こちら
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ(07年)
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