
なんだよ。ちくしょう。こういうバンドのことはもっと早く教えてくれよ。と、誰彼かまわず、声のヴォリュームを上げそうになった。たとえば、100点満点中70か80点オーヴァーならば良しとしようオーケーオーケー、ってな具合に、誤魔化し誤魔化し過ごすのは、世界に絶望しないための処世術なわけだが、しかし、そういったことが途端に馬鹿らしくなるぐらい、ジャスト一直線な内容で、ごめん、自分を甘やかすのはもう止めにしよう、それはいろいろなデタラメを許すことだから、と思わされた。
これ、RENTOKILLERの『CADEVERI ECCELENTE』を、もしも一言で表すのであれば、コンヴァージに対するスウェーデンからの返答といった具合になるのではないかしら。××に対する××からの返答というのはものすごく紋切り型の評価だけれども、いやいや、べつの言い方をできないのはむしろ僕の力不足で、けっしてフォロワーのレベルに終わっていない。突き抜けている。振り切れている。振り切れた先に、裂け目があって、そこからは熱風が吹いている。聴き手を常温に停滞させない、激しい息吹だ。
またスウェーデンのハードコア(ポスト・ハードコア)といえば、なによりもまずリフューズドの名前が挙げられるが、あれをさらにヘヴィにアグレッシヴに、そしてコンパクトにした、というような印象も浮かぶ。というか、とにかくもう瞬発力の部分に手加減がない。おそらく重要なのは、スタイルの維持ではなくて、そこに傾けるエネルギーのほうなのである。質量と熱量と衝動を、どれだけ一点に集中させられるか。そうしてアルバム中、もっともバンドの本領が発揮されているのは、7曲目になるのだろう。
ざっくばらんなリズムによって奏でられるイントロ。それが途切れると、円を描くようなグルーヴが生まれる。一音一音の切っ先は、鋭い。ギターは1本だが、色づかいは多彩であり、ベースの強い圧にコーティングされながら、無呼吸のテンポでハイからローのイントネーションを繋げる。とくに中盤で、それまでとは違う縦運動のリフが刻まれるとき、アドレナリンがわっと騒ぎ出したのは自分でもびっくりした。だいたい、それについてゆくドラムだって大したものである。そしてヴォーカルだ。
はっきり言って、わーわーわーわー叫ぶばかりで、言葉の一片も聴きとることができやしない。が、しかし、なぜだろう、言わんとしていることはわかるような、濃い説得力を持っている。それはおそらく気迫の問題である。そう、こちら聴き手の調子を、完全に食っているのだ。食われているのだ。おい、おまえ、そんなんで満足なのかよ、平気なのか、くっだらねえ、ばかみたいだ、と、キリキリキリキリ詰め寄ってくる。後頭部のあたりをびしばしと容赦なく叩かれている。そんなイメージに、いつの間にか埋没しながら僕は、生きることに向ける態度というものを、深く省みる。そうだね、素知らぬふりして軽薄な怠惰だけを重ねる在り方は、ほんとうにほんとうは勘弁なのだった。
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