ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2007年06月17日
 ロッキン★ヘブン 4 (4)

 明るく楽しく元気、というのは、それだけでもう十分に価値があるものなのだから、このマンガの主人公が皆から好かれるのは道理であろう、けれども、ときには噛ませ犬の気持ちも考えてあげてください。酒井まゆ『ロッキン★ヘブン』の4巻である。臨海学校での告白を経て、ついに両想いになった紗和と藍であったが、そのことをクラスメイトに秘密にしていたことが、クリスマス・プレゼントの、お揃いのピアスによってばれ、紗和に惹かれていた城戸は、内心ダメージを受ける、ばかりか、そこに藍に憧れる城戸の妹が絡んできて、事態はさらにてんやわんやなのさ、というわけだ。いちおうは城戸の失恋がメインのテーマなんだろうけれども、あどけなくもキュートな登場人物たちの、賑やかなテンションは、悲しみを、一過性のものとして、きれいに洗い流す。そうした作風によって、物語のわきに添えられた〈恋の終わりは世界の終わりじゃないから / いつかきっと思える / きみを好きになってよかった〉というポエム感が、くさくならず、澄み、あわい叙情として響いているのも、ナイスである。ちなみに城戸は、巻末のプロフィールによると〈とくぎは北斗神拳〉であり、生まれ変わったら〈ラオウ〉になりたいのだし、もしも願いが叶うなら〈ラオウになる〉ほどの拳王フリークであるらしいのが、そうした憧憬はまるで、自ずから噛ませ犬であることの宿命を背負っているかのようじゃないか、いや、そんなことはないか。さて、この巻における、もうひとつのトピックは、2年に進級した紗和たちのクラスに、転校生としてあたらしく、芸能人でもある杉下晴希が加わることだといえる。彼の、紗和に対する関心は、おそらく横恋慕に発展してゆくに違いないのだが、その過程で、紗和が(藍たちにそう働きかけたように)、晴希の屈折した性格を矯正するのだとしたら、それはそれで今後の見どころであり、物語の機軸が始点からぶれていないことの証にもなる。

 3巻について→こちら
 2巻について→こちら
 1巻について→こちら
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ(07年)
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