ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2007年06月14日
 水曜日のライオン

 いわゆる、ベタ、の一言で作品を評価してしまうことは、思考の停止とほぼいっしょなので、できれば避けたいところなのだが、いや、しかし、これはさすがにベタすぎるよ、と、みきもと凜の『水曜日のライオン』を読んで、思うわけだ。表題作の「水曜日のライオン」は、見かけは不良じみていておっかないクラスメイトの男子の、意外な一面を見てしまったことから、じょじょに心惹かれていく女子高生の物語で、そうした表題作のほか収められている二篇のうち、「恋する世界の片隅で」では、幼少の頃に苛められていたせいで性格のいじけてしまった少女と、その原因となった男子が再会することで、二人のあいだの屈折した恋愛感情があかるみになってゆく、そして、もう一篇の「銀と青の永遠」は、あるとき一目惚れした男の子がじつは、病弱な双子の妹の恋人であったため、許されぬ想いに心を痛める少女を描いており、つまりは、みなどこかで見たことのあるパターンを踏襲しているに過ぎず、またそこに、先行するマンガ家の影響が上手にこなれていない絵柄を含めたうえでの批判を行うのは、容易い。じっさい、質的にもそれほど高いとは言い難いよね。しかし、細かいところを抜きにするのであれば、ぜんぶがぜんぶ、ハッピー・エンドで終わっている、そのことが結局は、読み手に感情移入を催させるようなポイントなのだ、と指摘することはできる。たとえば、すべての篇のラストは、もしも運命の一語をポジティヴなものだと信じられるとき、人の気持ちはこう動くのではないか、という力学によって支えられており、それがすなわち、ある種の紋切り型に紋切り型なりの清々しく、光り輝く機会を与えている。

 『タイヨウのうた』(原案・板東賢治)について→こちら


posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ(07年)
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