ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2007年06月10日
 有頂天ポリス 1 (1)

 高校時代に、きわめて不良(ワルと読んでください)だった人間が、卒業後、社会人として警察官になる、というのは、一般的にどれぐらい事例があるものなのか、寡聞にして知らないが、マンガの世界でならば、よく使われるパターンではある。それはきっと、まあ、なかには藤沢とおるの『GTO』における冴島のようなケースもあるけれど、基本的には、モラトリアムが終わったあとでの成長をわかりやすく示す、そのための発想なのだと考えられる。しかしながら、この男だけは、まったくもって成長していない、どころか、馬鹿さ加減に拍車がかかっているので、弱るよ。ヤンキーものの次に警察ものを描くというのは、鈴木けい一が『東京番長』のあとに『東京刑事』をはじめたときのことを思い出させるけれども、『東京刑事』が『東京番長』の正式な続編でなかったのとは異なり、秋好賢一の『有頂天ポリス』は、同作者の前作『香取センパイ』の主人公を、そのまま引っ張ってきている。そう、つまりは、あの、重度のトラブル・メイカー、香取権太のことである。だいたい、まだルーキーでありながら〈この1年で3つの交番を破壊…!? PC(パトカー)2台大破 バカな…テロリストの経歴みたいじゃないか…〉と、警察内部からも怖れられる破天荒ぶりは、高校時代をはるかに上回るものであろう。そうした暴走に手を焼く上層部の判断により、できるだけ表に出さないように、閉じ込めておくつもりで、藪隈署の留置係に配属されることになった香取であったが、もちろん、その程度のことで抑えが効くほど、常識的な人間ではなかった。いやあ、たとえば上司の〈ワシが黒と言えば白も黒…ワシにはさからえんよ〉という言葉に反して〈俺は俺で黒は黒!! 変わんねーよ〉と、言っていることはかっこういんだが、為すことぜんぶが真逆の成果をあげていくあたり、さすが、神がかっている。私生活においても、同僚というか先輩との飲み会で〈飲み会の時は無礼講を通りこして下克上がオレ流よ!!〉と(これはこれで名文句だけど)偉そうなところが、やっぱり、頭おかしい。いちおうは上級生の立場であった『香取センパイ』とは違い、この『有頂天ポリス』では、一番下のペーペーに過ぎないにもかかわらず、不遜な態度でもって、他人に迷惑をかけ続けたり、社会人になっても、あいかわらず、傍若無人すぎる。香取のボケに対する、いわばツッコミの役にあたる楠巡査長は、『香取センパイ』のガチャピンに比べ、個性が弱くあるけれど、悲惨な目の連続するせいで、存在感が強まり、愛着がわいてくるから不思議だ。たしかに、こんな人間が傍にいたら、堪らないよな、と。

『香取センパイ』
 11巻について→こちら
 10巻について→こちら
  9巻について→こちら
  8巻について→こちら
  7巻について→こちら
  6巻について→こちら
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ(07年)
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

この記事へのトラックバック