ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2016年11月02日
 Gold.

 勢いをくれ。面倒くさい何もかもを全部振り切るほどの勢いを。クラッシュした途端、ぐしゃぐしゃになって死んでしまうような勢いを。そして、死すらも忘れさせてくれるような勢い。それを掴めるかどうかは難しいが、しかし、手を届かそうとしていることの確かなサウンドが、米ジョージア州アトランタ出身のトリオ、 WHORES.のファースト・アルバム『GOLD』には備わっている。

 これまで『RUINER』(2011年)に『CLEAN』(2013年)と2枚のEPをリリースしてきたバンドが、ようやくフル・サイズの作品にまで進んだわけだけれど、初期のHELMETやUNSANE(その他、かつてアンフェタミン・レプタイル・レーベルに所属していたアーティスト)等々をロール・モデルにしていると覚しきジャンクなスタイルのヘヴィ・ロックは、基本的に変わらず。だが、EPの頃に比べ、ヒネリのきいたリズムやゴツゴツした手触りが、いくらか抑えられている。かわりに、スピード感がストレートに出、ダイナミズムの通りが良くなった。雑然とした部分が少なくなった点は、評価の分かれるところであろう。

 以前はスラッジ・メタルに近かったニュアンスが、ストーナー・ロックに近いニュアンスへと切り替えられている風でもある。ともあれ、ひずまされたノイズと低音の強調されたグルーヴ、シャープなギターのリフとに魅力の多くがあり、ヤワになったという印象を受けない。攻撃性をペンにしながら、設計図を引いていったその線の太さ、硬さ、鋭さが、細やかなレイアウトのレベルにも影響を及ぼしているイメージである。

 パンキッシュに演奏とヴォーカルとを爆発させる1曲目の「PLAYING POOR」や6曲目の「CHARLIE CHAPLIN ROUTINE」8曲目の「I SEE YOU ALSO WEARING A BLACK SHIRT」ばかりではなく、ハンマーの鈍い一撃に喩えられる圧のずっしりかかった2曲目の「BABY TEETH」や3曲目の「PARTICIPATION TROPHY」10曲目の「I HAVE A PREPARED STATEMENT」にも、ぐしゃぐしゃにクラッシュすることを怖れないかのような勢いが加わっていることに留意されたい。ギター、ベース、ドラムの猛烈なアンサンブルに『GOLD』の醍醐味は示されている気がするのだ。

 イントロから緊張の素晴らしく張り詰めた5曲目の「GHOST TRASH」は、稲光を思わせる。アタックの鮮明な激しさに鬱陶しい何もかもを全部ぶち抜きたい衝動が喚起させられる。
 
 バンドのオフィシャルFacebook→こちら
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽(2016年)
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