ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2016年10月15日
 CROWN FERAL

 ああ、これ自体が嵐の夜をイメージさせるし、吹き荒ぶ雨風も先の見えない暗闇も厭わずに駆け抜ける馬車のごとくでもある。米国のマサチューセッツ州ボストンやワシントン州シアトルを中心に活動を続ける4人組、TRAP THEMの通算5作目となるフル・アルバム『CROWN FERAL』には、今にも壊れそうなほどに軋みをあげていく車輪のスピードが宿されているのだ。もちろん、それはファースト・アルバム『SLEEPWELL DECONSTRUCTOR』(2007年)の頃より不変のものだが、マンネリズムがスリルを損なってしまうのとは異なったレベルで、一貫したフォームやスタイルの凄みを引き出しているところに圧倒される。

 幾度かのメンバー・チェンジを経てきたバンドだけれど、前作の『BLISSFUCKER』(2014年)と同様のラインナップで『CROWN FERAL』はレコーディングされている。それもあってか、今まで以上に整合性の出た印象だ。整合性とは、この手のエクストリームでアグレッシヴなアーティストの場合、勢いを削ぐマイナスになりかねない。しかし、そうではない。楽曲の構成と演奏とに、一丸と喩えるのが相応しい厚みをさらに得たことで、ファストなパート、スローなパート、ミディアムなパートのギャップが少なくなり、ダークで殺伐としたテンションをそのままにしながら、アッパーなロックン・ロールとも似たノリのよさを増しているのである。

 抑えめのリズムに不穏なノイズが反復させられるなか、強烈なスクリームがこだまする1曲目の「KINDRED DIRT」こそ、異様な儀式を思わせるが、2曲目の「HELLIONAIRES」から先における展開は、怒濤というほかない。デス・メタルもカオティック・ハードコアもクラストもスラッジも一飲みにし、変則的なギターのリフとバックのリズムとが、前のめりに高速であることとヘヴィであることを同時に求めていくサウンドは、先に述べたように猛り狂った嵐の夜をイメージさせる。7曲目の「TWITCHING IN THE AURAS」やラスト・ナンバーである10曲目の「PHANTOM AIR」など、地を這うタイプのグルーヴに負のオーラが凝縮しているのも、TRAP THEMの特色であろう。

 録音とミックスには、従来通り、CONVERGEのカート・バルーとゴッド・シティ・スタジオが関わっており、ともすれば、いつもと一緒、のパターンに着地してしまっても不思議ではない。実際、そうした評価をくだす向きがあってもおかしくはない。ただし、手抜きのアイディアを手癖で仕上げたかのような楽曲は一個も見受けられない。隙がない密度のアンサンブルには、すぐれた緊張感が張り詰めている。それらとキャッチーなバランスとが同居した5曲目の「Malengines Here, Where They Should Be」は、『CROWN FERAL』のハイライトだといえる。破滅的、破壊的なベクトルをキープしたまま、絶望とはかけ離れたヴァイヴレーションを、握り拳のガッツを、嵐の夜をものともしない高揚感を成立させている。

 バンドのオフィシャルFacebook→こちら
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽(2016年)
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