ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2016年10月06日
 All Through the Night

 いやはや、前作の『HONK MACHINE』(2015年)が発表されて以来、それをIMPERIAL STATE ELECTRICにとっての最高傑作に挙げていたのだったが、申し訳ない。このフィフス・アルバムにあたる『ALL THROUGH THE NIGHT』こそ、彼らにとっての最高傑作だと改めたい気持ちで一杯である。生粋のライヴ・バンドとして名を馳せているスウェーデンの4人組だけれど、スタジオ・ワークにおいても極めて高い水準の作品を次々発表し、常に期待値を上回っていくのだから、恐れ入るよな、であろう。

 あくまでもロックン・ロールらしいロックン・ロールを奏でるサウンドに革新性は見あたらない。皆無だといえる。しかし、数々の古典を参照もしくは引用しながら、てらいなく紡がれるビートの心地良さに、体の芯から惹かれるものが現れているのであった。

 時代になびかないことが、エヴァーグリーンな魅力を引き出し、質と格のレベルに他との差異が生じさせられている。参照されるポイントは『HONK MACHINE』の頃よりさらに掘り下げられていると思われる。カントリー・ミュージックやソウル・ミュージックにまで遡ったかのような手触りが深まっているのである。ただし、一概にスローになったのでもなければ、落ち着きが出たとの単純化もできない。むしろ、ギターは以前にも増して踊っており、リズムの躍動感は強くなった。そのヴァリエーションの広がりに、ロックン・ロールのフィジカルな魅力が包み込まれているのだ。

 全体の構成は、これまでと同様、レコード(所謂ヴァイナル)LPのA面B面を意識したものとなっている。キック・オフを告げる1曲目の「EMPIRE OF FIRE」には、切れ味の鋭いギターのリフと色気のあるグルーヴとがたっぷり。ストリングスが入った2曲目の「All THROUGH THE NIGHT」や女性のコーラスを加えた4曲目の「BREAK IT DOWN」など、センティメンタルなナンバーが並ぶ一方、2曲目の「REMOVE YOUR DOUBT」や5曲目の「OVER AND OVER AGAIN」など、軽快に跳ねていくタイプのナンバーも充実している。

 メンバーのほとんどがメインでヴォーカルを取れるし、そうして重ねられたヴォーカルのハーモニーはフックの強いフレーズに結び付けられている。古典的なブギーとシャウトの引用であるような8曲目の「GET OFF THE BOO HOO TRAIN」を経、鍵盤の駆け抜けるスピードが印象的な9曲目の「WOULD YOU LIE」は、後半のハイライトだ。(日本盤のボーナス・トラックを除き)ラストを飾る10曲目の「NO SLEEPING」は、THE BEATLESあるいはジョージ・ハリスンのバラードを彷彿とさせる。

 『HONK MACHINE』について→こちら
 『POP WAR』について→こちら

バンドのオフィシャルFacebook→こちら
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽(2016年)
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