ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2016年08月06日
 YGG HUUR (イグ・フアー)

 近年、にわかにオーヴァーグラウンドのリスナーからも注目を集めはじめているアメリカン・ブラック・メタルのシーンで、その盛り上がりの一角を担うニューヨーク出身のKRALLICE、初の来日公演である。が、いや、これはすさまじかったんじゃねえでしょうか、と思う。サポートを務めたおやすみホログラムやVMOの実にアクティヴなパフォーマンスに比べるなら、ステージに立ったKRALLICEの4人の佇まいは地味といわざるをえない。Tシャツ姿のラフなルックスは、インディの世界によくいそうな兄ちゃんたちでしかなかった。しかし、演奏がスタートした途端、とにかく、すさまじい演奏と音像とに全部を持っていかれる。

 派手なアクションとは無縁な立ち姿から繰り出される超絶技巧及びマッシヴであるようなサウンドの厚みがスタジオ音源で聴かれる以上のインパクトを次々に現出させてくれたのだ。先ほどブラック・メタルのジャンルに並べたけれど、それよりも爆音のプログレッシヴ・メタルと呼びたくなる。確かに、2015年にリリースされた最新作『YGG HUUR』において、北欧の真性のブラック・メタルと親和性が高かった初期のスタイルを大きく逸脱してはいた。ドラムのビートにブラック・メタルのエッセンスを残しつつも、おそらくはブラック・メタルに由来していたのだろうギターのトレモロは後退し、テクニカルかつカオティックなパートを矢継ぎ早に繰り出す。構成の目まぐるしさを主体にしていたのだ。

 カオティックあるいはプログレッシヴな『YGG HUUR』のモードをさらに延長した先の領域を今回のライヴは思わせる。もちろん、セット・リストに新しい楽曲が多く含まれていたのもあるが、過去のアルバムからのナンバーでさえ、印象を真新しくしている。アレンジが変えられているのではなく、スタジオ音源では見えにくかった本質がビルド・アップされているのかもしれない。ああ、フロントに立った6弦のベース(レフティなのが、またかっこよかった)その左右で一糸乱れずに複雑なフレーズを高速で弾きこなしていく2本のギター、そして、並のプレイヤーなら崩れてしまいそうな奇々怪々のリズムを強烈に叩き出してみせるドラムとが、ある種の極限のなかにのみ存在しうる美しさをイメージさせる。

 本当にもう、これはすさまじかったんじゃねえでしょうか、と思うし、圧倒されたぞ、と声を大きくしたい。KRALLICE、初の来日公演は、こちらの期待を遥かに上回るものであったことだけは確かである。

 バンドのオフィシャルFacebook→こちら
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽(2016年)
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