ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2004年08月11日
 『メフィスト』9月号掲載。十七番目の妹が死んだので「私」は映画を観に行かなければならなかった。十七番目の妹が死ぬのは、これで4度目で、そのたびに「私」は映画館へ向かう。途中、財布を忘れたことに気づいた「私」は、上品そうな紳士からハートのエースのカードを借りて、キャッシュディスペンサーから金を下ろす。銀行強盗の覆面の男は左手の薬指で引き金を引いたために死ぬ。熊の少女が携帯電話を差し出す。向こうからは十七番目の妹の謝る声が聞こえる。
 青臭い議論もキャラの立った登場人物も現われず、これといったストーリーもない。これまでの西尾作品でいえば『明けない夜とさめない夢』がもっとも近しい、徹頭徹尾アパシーだけが感じられる。たぶん西尾維新の本質、っていうか文学観みたいなものって、こっちなんじゃないかな。太宰治を遠景に捉えるような。いや、こういうのものすごく好きなんですよね、僕。全体を通して、脈絡がないにもかかわらず、なぜか余韻が残るつくりは高橋源一郎の『さようなら、ギャングたち』を思い起こさせたりもする。
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | 読書。
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