ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2007年05月31日
 忍者パパ 2 (2)

 山本康人『忍者パパ』の2巻には、職場が都内のどこにあるのかはちょっとわからないのだけれども、忍者パパこと祭のぶ夫が、東武東上線を使い、埼玉県の鶴ヶ島駅から出ている終バスに間に合うようにして、住まいに帰るためには、飲み会の席を9時過ぎには立たなければならない、そういう場面がある。これが地味にリアルである。むろん、バスがなければタクシーを使えばいいじゃない、ということもできるし、じっさい、都内から終電あたりの車輌で帰る人びとの多くはそうしており、深夜にタクシーを待つ行列が馴染み、という向きもすくなくはないであろう。ここで重要なのは、そうしたディテールの部分において、もちろん奥さんが免許をとって(持っているのかもしれないが)マイカーで迎えにいけばいいとも思うのだが、祭家にはタクシーを使う余裕がない、という点であり、そのことが、発泡酒と終バスの価値観を、作中で高めている。いや、高められているのは、そのようにして営まれている〈家庭のぬくもり…小さな平和の大切さ〉か。それは抜け忍である主人公にとって、金銭や権力には替えられないものであり、命を賭けてまで守らなければならないものなのだ。作品自体は、サラリーマンと○○の二重生活ものを、この作者流にアレンジしたマンガ、といったレベルに止まるが、ひねた人間からは陳腐に見えるほどの、しかしそうであるがゆえの実直さを、徹底的にキープしようとする気位こそを、ここでは評価すべきなのかもしれない。

 1巻について→こちら
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ(07年)
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