ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2016年03月02日
 Jesu / Sun Kil Moon

 3月1日、会場の渋谷クアトロは満員ではなかった(正直な話、フロアには空きの方が目立ったぐらいだった)が、それでもJESU / SUN KIL MOONの来日公演は、紛れもなく一見に値するものであった。ライヴでは、ドラムに元SONIC YOUTHのスティーヴ・シェリーを迎え、ある意味でスーパー・グループの体を為していながら、フロントマンとして全体の指揮を取ったマーク・コズレックの独壇場といった印象である。と同時に、マークが声を発すれば、それがすなわちSUN KIL MOONであり、ジャスティン・ブロードリックがギターを爪弾けば、それがすなわちJESUとなることを、あらためて体感させられる。これはもちろん、両者の初のコラボレーションである『JESU / SUN KIL MOON』において既に果たされていた証明にはほかならない。

 JESUとSUN KIL MOONのコラボレーションがいかなるものか。ああ、マーク・コズレックの、言葉数が多く、エモいというよりはリリカルなヴォーカルと、ジャスティン・ブロードリックの、ヘヴィでありつつ、アンビエント・ミュージックのムードで響き渡るギターとが、抑鬱的だが、しかし、かすかな光のなかに希望を覗き見てしまう、あたかもそんな情景を描き出している。スロウコアあるいはサッドコアのハシリとして知られる元RED HOUSE PAINTERSのマークが、何かしらのストーリー性を持ったリリックに込めていくもの、GODFLESHのゴツゴツとしたインダストリアル・メタルの遥か遠方へと達したジャスティンが、ディストーションとメロディアスなフレーズに込めていくもの、どちらにも共通しているのは、おそらく、体温のイメージである。昼下がり、窓際のカーテンの作り出す影が揺れていることに、どうしてか感じてしまう不思議なあたたかさに喩えても良い。無条件で絶対的な幸福とは異なる。むなしさと背中を合わせ、手探りするうちに指先でわずかに触れた(それでいて確かな)喜びを思い起こさせる。アルバムの冒頭を飾った「GOOD MORNING MY LOVE」と2曲目の「CARONDELET」に、今回のコラボレーションの最良のところは凝縮されているだろう。続く3曲目の「A SONG OF SHADOWS」は、正しくJESUをバックにしたSUN KIL MOONだといえる。

 SLOWDIVEやLOW、MODEST MOUSEのメンバーがゲストで参加しているというインフォメーションは、その手のファン層からすれば、確かに豪華だけれど、核となっているのは、あくまでもマーク・コズレックのヴォーカルであって、ジャスティン・ブロードリックのギターだ。3時間に近いライヴでは、先に述べたとおり、マークがバンドのマスターを務めていただけに(アドリブや長いMCを含め)SUN KIL MOONの色合いが、やや強めであったが、あれほどまでに笑顔を見せるジャスティンは、GODFLESHでもJESU単体でも、なかなかお目にかかれないものである。コラボレーションの成功や居心地の良さをうかがわせる。少なくともあの場にいた人間としては、BLACK SABBATHの「WAR PIGS」のさわりから「A SONG OF SHADOWS」へと雪崩れ込んでいくシークエンスの美しさは、最高だったな。JESU / SUN KIL MOONの何たるかを知った気がし、感動すら覚えてしまったのであった。

 JESU『ASCENSION』について→こちら
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽(2016年)
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