ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2007年05月28日
 君に届け 4 (4)

 天然ボケともとれるほど、ナイーヴないしピュアまたはイノセントな主人公の爽子や、また彼女にちょっかいを出す、ルックスは良いが計算高いくるみの、そうした性格などは、少女マンガのシーンにおいて、昔からよく見かられるもののはずである、にもかかわらず、彼女たちの交わりからある種の清新さを感じられる、ってのが結局のところ、椎名軽穂『君に届け』の魅力なんだよな、と思う。爽子のまっすぐな態度に、苛立ったくるみは、とうとうその本性を顕わにする。一方、爽子や自分たちに罠を仕掛けた犯人に思い当たった矢野は、その尻尾を掴むと同時に、反撃の機会をうかがうのであった。以上が、この4巻の大まかな流れになっているのだけれども、こうしたストーリー展開もまた、球種でいえば、ストレート以外の何ものでもない。もちろん、この時代に、きわめて直球であることの勢いが、あるいは逆に変化球めいて見えることが、マンガの内容をおもしろく感じさせる、というのはあるかもしれない。が、それだけではなくて、たとえば、欠損があるゆえに人は他者を求める、という説をとるのであれば、ここで、その欠損は、暗くなく、ポジティヴで、明るいものとして描かれているのが、じつは重要なポイントなのではないか。このことは、爽子自身の成長によく現れているし、彼女と関わった人びとの変化のうちに表されている。そして、突き詰めていくと、やはり、爽子と風早の出会いが、すべてのはじまりであったことに、気づく。なぜ、爽子が、まあ風早に惹かれるのはもとより、新しく知り合った人たちを大切にするのか、それはおそらく、相手のなかに自分にはないものを見、そうして自分のなかにそれまで知ることのなかった感情を発見するから、であろう。矢野と吉田の逆襲によって、化けの皮がはがされたくるみを、しかし爽子は、友だちだと欺かれたことに傷つきながらも、嫌いになれない。むしろ〈まだつきあいは浅いけれど しらないこといっぱいあるけど…でも くるみちゃんのすごく大切な気持ちを私に教えてくれたんだよ 私もくるみちゃんに言いたいの〉と思い、彼女のもとへと走る。いいシーンである。

 3巻について→こちら
 2巻について→こちら
 1巻について→こちら

・『CRAZY FOR YOU』
 6巻について→こちら
 5巻について→こちら
 4巻について→こちら
 3巻について→こちら
 2巻について→こちら
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(1) | マンガ(07年)
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君に届け 4巻発売!!
Excerpt: 今回は・・策略的美少女くるみちゃんと天然大ボケ爽子ちゃんが 風早への思いをめぐって対決です??  ☆参加してます☆  *前回レビューはこちら♪
Weblog: shaberiba
Tracked: 2007-06-03 15:17