ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2007年05月27日
 メンズ校 2 (2)

 やたら前向きな男の子たちの性格も含め、テンションの高く、あかるい作風は相変わらずなのだが、ああ、くそ、やられた。まんまと泣かされたぞ。よもやこんな見え透いた手に引っ掛かるとは、というやつである。外界とはほぼ遮断された全寮制男子校の、賑やかな生活を描く、和泉かねよしの『メンズ校』の2巻は、中心人物のひとりであり、女子との交流を望みながら、どこか一線引いたところのある牧の、その原因を主な柱として進む。彼がまだ中学生だった頃、どうしようもなく惹かれた同級生エリカとのあいだに、いったい何があったのか。作中で〈入学式でドキ☆ドキな出会い / 友達以上恋人未満…そんなじれったい関係が続いて / ふとした瞬間に互いの気持ちがあふれ出す…〉ようなスクール・ライフを指して〈どこの‘90少女マンガだ〉と形容する個所があるけれども、だとしたら、ここでの展開は、さしずめ00年代の少女マンガに典型的なもの、といったところであろう。まあ要するに、好きだった人があれであれしちゃうわけだが、しかし話の持っていき方が、ずるいぐらいにうまく、先ほどもいったけれど、まったくもって油断させられる。牧とエリカの馴れ初めは、きわめてユーモラスに取り扱われており、幸福な時間の、短さと長さを、とてもよく表していて、そうすることにより、悲恋としてあるような結末が際立たせられているのだ、と思う。焦点となるのは、哀しみではない、嬉しさであり、喜びである。誰しもが、幸福な時間は永遠に続けばいい、と願う。そうした期待のふくらみの、大きくあればあるだけ、破れたときに痛む傷が、ここで、あ、と胸を打つエモーションをつくり出している。

 1巻について→こちら

・その他和泉かねよしに関する文章
 『そんなんじゃねえよ』9巻について→こちら
 『二の姫の物語』について→こちら
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ(07年)
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

この記事へのトラックバック