ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2015年10月01日
 EVERYTHING EVER WRITTEN

 8年ぶりとなる久々の来日公演は素晴らしいものであった。IDLEWILDである。個人的には、初期のグランジというかエモというかパンクというか、のササクレ立った楽曲に心躍るのだけれど、同じく初期の頃から特徴的だったナイーヴなメロディとリリカルなフレーズとを全面化した現在のスタイルを決して否定しはしない。そこには若き日の熱情を残しながらも、成熟と呼ぶに相応しい境地へと達することの価値が、はっきり現れているように思うのだ。

 一際目立った派手さはない。あっと驚くような展開もない。しかし、このバンドならではの叙情性が、ギターのリフやヴォーカルのラインとともにそこかしこに散りばめられ、「もののあはれ」にも似た感動を作り上げていることは、今年リリースされた通算7枚目のフル・アルバム『EVERYTHING EVER WRITTEN』からも確認できる。エレクトリックなパートは、正しくロック・バンドのダイナミズムを感じさせる一方、ケルト・ミュージック風というか、フォーキーでありつつ、ストリングスをも含めたパートは、スコットランド出身である彼らのルーツを掘り下げるかのような深さと広がりを持っていく。

 スコティッシュ・ロックと、一言でいうならば、その通りのサウンドであろう。ポップではあるものの、スコティッシュ・ポップではない。ディストーションによってくるギターの鋭さが、そして、それが実に印象的なリフを刻んでいることが、見事なトレード・マークになっていることは、1曲目の「COLLECT YOURSELF」において明らかだ。ロディ・ウォンブルのヴォーカルが直情的に訴えかけたり、アップ・テンポに畳みかけるタイプのナンバーは、20年に渡るキャリアを経るなかで少数派になりはじめているが、IDLEWILDの本質にとって激しいエネルギーとうねりは不可欠だと証明しているのである。

 はたまた、今回のライヴのクライマックスでも披露された12曲目の「UTOPIA」の美しさは特筆すべきものだろう。日本盤のボーナス・トラックを除く、ラスト・ナンバーである。ピアノの調べを主体にし、センティメンタルでいて穏やかな風景が、まざまざと描かれる。あらゆる困難にまつわる物語が、〈SUFFER AND GO. SUFFERING THE PEOPLE FOR A UTOPIA〉というフレーズの息づかいに集約されている。時と場所を違えようと漏れることのない切実さがある。

 RODDY WOOMBLE『MY SECRET IS MY SILENCE』について→こちら
 『WARNINGS / PROMISES』について→こちら

 オフィシャル・サイト→こちら


posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽(2015年)
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