ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2007年05月19日
 極道の食卓 2巻 (2)

 熟年離婚をし、夜間高校へ通う濁組組長、久慈雷蔵の生き様を描いた、立原あゆみの『極道の食卓』2巻であるが、1巻に比べると、ここではふつうにヤクザの親分をしていることに、驚いた。それというのも、作者が並行して進めている『仁義S』や『ポリ公』の灰汁抜き的な役割を、この作品は負わされているのかな、そのために金やセックス(性交)ではなくて、グルメや学校生活がマンガのなかに代入されているんだろう、と考えていたためで、こう、夜の街に、借金取りの類や水商売の方々、悪党に騙される人びとが跋扈しはじめたら、ネタは被りまくるし、ストーリーのテンションも似てきてしまうではないか、ただでさえワン・パターンの作風と見られがちであるのに、と危惧するわけだが、しかし久慈雷蔵の個性ひとつで、それを杞憂に変えてしまうのだから、さすがに、あゆみイズムの、その矜持たるや、奥が深い。ほぼボランティアで、クリスマスにはサンタクロースの恰好でプレゼントを配り、年末には幼稚園で餅をつくなど、そうした便利屋稼業顔負けの活躍ぶりは、とはいってもやはり、いかに人情家であろうともイケイケ型の若いヤクザにはそぐわないし、周囲の人間から敬遠されても仕方がないところだけれども、久慈雷蔵ならば、誰からも文句が出ず、許される。いくら物心のついていない子供とはいえ、偶然知り合っただけのおっさんが、裸になり、入れ墨を剥き出しのまま、キッチンで炒め物をしていたら、多少は物怖じするだろうに、むしろ喜んで(『仁義』の礼一じゃあるまいし)料理が出来上がるのを待っていたりするあたり、その人徳がうかがえる。まあ裏では、きっちりと稼いでいそうなのだが、一般人に迷惑をかけない、といったポリシーは、同作者の他のマンガ以上に徹底されているのである。それはそうとして、前巻のときには、料理が不味そうと書いてしまったが、ごめん、こちらの目が変わったのか、ちょっと美味しそうに見えてきた。ザリガニとバジルのパスタは食べてみたいな。

 1巻について→こちら

・その他立原あゆみに関する文章
 『仁義S』3巻について→こちら
 『ポリ公』2巻について→こちら
 『月の教室』について→こちら
 『喰人』第1巻について→こちら
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ(07年)
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