ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2007年05月18日
 山本善次朗と申します 1 (1)

 槙ようこの新しい作品『山本善次朗と申します』の主人公はいったい誰なのか、ということをちょっと考えたくもなるのは、ふつう、こういう題であれば、山本善次朗という奴か、そうでなかったら、そいつと恋愛関係となるような女性登場人物か、さもなければ、その名前に反して山本善次朗がヒロイン、というあたりの線を思い描いてしまいがちなところで、じっさいには、ぜんぜんそういうわけではなかったからである(だいいち、この1巻のカヴァーに、山本善次朗の姿、描かれていないよね)。霊視ができてしまう少女ほたて(歩達)は、今は亡き母の母親つまり祖母といっしょに10歳まで暮らしていたのだが、その能力を忌む祖母から避けられ、遠い親戚の住む田舎に預けられることになるのだけれども、その親戚こそが、じつは彼女のほんとうの父親、山本善次朗なのであった。と、つまり山本善次朗というのは、ヒロインの保護者となる人物の名であり、物語の基本線は、幼くして幽霊の姿が見えてしまう少女が、いかにして成長してゆくか、にあると見てしまって良い。しかしながら、それでもこのマンガが『山本善次朗と申します』であるのは、その成長を見守るやさしい視線が、もう一方の角度から、物語に膨らみをつくっているためなのだろう。このへんは、同作者の『愛してるぜベイベ★★』に通じる部分だといえなくもないが、あちらとは違い、ここでは保護者の立場をつとめるのは、すでに成人した人間であり、またヒロインが、ただ庇護されるだけのか弱い存在に止まっていない点に、あたらしい意義が含まれている。幽霊たちとの交流も、飾りつけ程度の付加要素に終わらず、ほんらいは目に映らない人の気持ちを、少女マンガふうのモノローグに落とし込むさい、効果的に作用し、たとえば、好きな人と離れずにずうっといっしょにいたい、といったシンプルなメッセージのよりつよい強調となっている、のである。

・その他槙ようこに関する文章
 『たらんたランタ』
  2巻について→こちら
  1巻について→こちら

 『STAR BLACKS』
  2巻について→こちら
  1巻について→こちら

 『愛してるぜベイベ★★』
  7巻について→こちら
  6巻について→こちら
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ(07年)
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