ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2014年11月02日
 公務ですから! (1) (ビッグガンガンコミックス)

 坂口いく(原作・絵コンテ)と清水ユウ(作画)の『公務ですから!』の1巻には、大きくいって、二つの軸があるように思う。一つは、これがご当地ヒーローを任ぜられた地方公務員と駆け出しのマンガ家の出会いを描いていること。もう一つは、それがエリートで堅物のイケメンさんとドジで消極的なヒロインの出会いになっていることである。前者に関しては、非常に今日的な(トピックを題材とした)コンセプトだといえるし、後者に関しては、極めて伝統的な(少女マンガなどによく見られる)ラブコメのエッセンスといえるだろう。

 日本で一番とされるT大学を卒業したものの、地元である青里市で一人暮らしを続ける母親を心配し、青里市役所の観光課に就職した結城真一は、上司の佐倉に街興しの一環として、ご当地ヒーローの企画を持ちかけられたのであった。まずは限られた予算のなかでのスーツのデザインと制作である。そこで佐倉が目をつけたのは、特撮のヒーローに詳しい妹の聡美だ。聡美は、デビューしたはいいけれど、まだ連載にこぎ着けられないでいるマンガ家でもあった。打ち合わせを通じて、結城と聡美は出会い、そして、青里市のご当地ヒーローとなるガッテンダーが誕生した。しかし、まさか結城本人がガッテンダーの中に入ることになろうとは。特撮のヒーローには一切興味のない結城だったが、真面目な性格が幸いして(災いして)自分には不似合いな佐倉の提案を〈公務ですから〉の一言で引き受けてしまう。

 坂口は、岩澤紫麗(作画)と組んだ『ちぇんじ123』に、特撮のヒーローは現代における生き方のモデルになりえるか、というテーマを忍ばせていたが、『公務ですから!』にも同様のテーマを見てとることができる。ただし、『ちぇんじ123』のそれは少年性のロマンや正義に置き換えられたのに対し、『公務ですから!』の場合は社会人(職業上)の倫理や責任として解釈されるものであろう。もちろん、本質は肩の凝らないラブコメであって、ラヴよりもコメディの色合いの強く出ているところに作品の魅力はある。

 どたばたした日常の喜劇が繰り広げられるなか、先述した二つの軸が二つのフックの役割を果たしているというより、適度にミックスされ、作品そのものに一つのフックをもたらしている。
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

この記事へのトラックバック