ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2014年10月21日
 聖闘士星矢EPISODE.G アサシン 1 (チャンピオンREDコミックス)

 あの『男坂』の最新巻にはじまって、『聖闘士星矢』の外伝といおうかスピンオフといおうかが三冊同時に出るなど、この10月はまるで車田正美強化月間のようであった。三冊同時に出た外伝の中の一つが、『聖闘士星矢EPISODE.G アサシン』である。1巻の段階では、はっきりとした物語はまだ見えていないのだが、これ、岡田芽武版『聖闘士星矢』である以上に、岡田芽武版『Fate/stay night』なんじゃないか、と思わされるものがある。現代の日本を舞台に、異能の力を持った円卓の騎士たちが聖剣戦争を繰り広げることとなるのだ。

 新宿に一人の黄金聖闘士(ゴールドセイント)が降り立った。山羊座(カプリコーン)のシュラである。女神(アテナ)の神託(オラクル)を授かったシュラには、聖域(サンクチュアリ)に背いてまで、果たさなければならない使命があった。それは暗殺者(アサシン)である。女神の敵として現れた謎の脅威を極秘裏に倒さなければならない。他方、裏切り者となったシュラの暗殺者を請け負ったのは、獅子座(レオ)のアイオリアだ。同じ黄金聖闘士に命を狙われながら、ついにシュラは自分のターゲットと相まみえることになった。それは円卓の騎士(ナイト・オブ・ラウンドテーブル)を裏切ったアロンダイトの剣闘士(グラディエーター)、ランスロットを名乗るばかりか、シュラのことをアーサー王(キングアーサー)と呼ぶのであった。そして、ランスロットは真の聖剣を持つのに相応しいのは誰かを問い、聖剣戦争の開幕を告げたのだ。

 要するに、アーサー王の伝説の世界がギリシアの神話の世界に浸食してき、その繋ぎ目にシュラの聖剣(エクスカリバー)を位置させているというのが、現段階で判明している『聖闘士星矢EPISODE.G アサシン』の構図である。もちろん、『聖闘士星矢EPISODE.G』における対話篇のようなバトルの描写と展開は『聖闘士星矢EPISODE.G アサシン』でも健在だ。ランスロットは東京都庁を指し、それを〈砂上の楼閣〉に喩える。さらには〈政はどこでも同じだ 我が王よ〉〈我々の政が人々を救えたか?〉〈志を持って集まった筈の我等――円卓の騎士〉〈脆くも瓦解し――結果 我々は / 殺戮し合った――〉〈力ある者は他者ではなく〉〈己の為にその力を使うのが――必然の証〉〈力とはその全てが欲望で形作られている――それを我々が証明した〉というのだ。このとき、シュラの無手の剣は、ランスロットへの反論にほかならない

 シュラはいうだろう。〈力とは他者の為に使う物〉だと。しかし、それをランスロットは認めない。〈ならば――刮目せよ!!〉という。〈我ら「剣闘士」の剣が――思想の上に立っていない事を――!! その眼前に現れる――死の具現化を!!〉まざまざと見せつけるのだった。

 正直な話、聖剣戦争にアイオリアがどう絡むのか、ちょっとわからないところがある。ただ、女神の聖闘士という意味で、シュラとアイオリアの思想が共通しているのは明らかである。その点では、シュラに託された作品のテーマの補強する役割を担っている。オールカラーの仕様は、車田本人の『聖闘士星矢 NEXT DIMENSION 冥王神話』を彷彿とさせる。もしくは(カード・ゲームを模した)スマホ・ゲームにおけるアトラクションの感覚を参照しているのだろう。が、やはり、登場人物たちの言い回しの濃さが最大の特徴となっている。

 『聖闘士星矢 EPISODE.G』
  20巻について→こちら
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  6巻について→こちら
  5巻について→こちら
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