ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2007年05月01日
 もうすっかりベテランの域に差し掛かったTHE WILDHEARTS(ザ・ワイルドハーツ)の、バンド名ままのニュー・アルバム『THE WILDHEARTS(ザ・ワイルドハーツ2007)』は、そのキャリアにおいて97年の『ENDLESS NAMELESS』以来、もっとも良質な作品だと言えるのではなかろうか。いや、じっさい、全編に渡り、楽曲と演奏の両面が、かなり充実している。リフとメロディの構成に、かつてのような冴えを感じさせる箇所が、多々あって、90年代にブリット・ポップの裏で奮闘してきた英ハード・サウンド勢の多くが、その後に失速、消滅していったなかにあって、なぜこのアーティストだけが、解散や再結成を繰り返しながら、それでも第一線に未だ止まっているのかを、知らしめるのに恰好な内容であると思う。もちろん、どっかで聴いたことがあるようなフレーズを自然に盛り込み、キャッチーな要素に変えてしまうあたりの手つきにもソツがないし、過去作の使い回しともとれる部分でさえ、弱点とせず、自分たちの持ち味として刷新してしまうところにも、センスの良さ、そして器用さがうかがえる。中心人物であるジンジャーの、このところソロ作などを含め、いまいち迫力を欠いていたソング・ライティングが、ひさびさに振るっており、楽曲はどれも粒揃いだといえる。そのなかでも4曲目の「THE NEW FLESH」が最高潮に好きだ。まさに、ここでしか味わえないフィーリングというものを、ジャストに伝えてくる。ハードであることとソフトであることの両端を持つ一本の紐を、ぐるりと一周させていった先で、ぎゅっときつく結び合わせ、そうして出来上がった円のちょうど真ん中に、親和性の高いコーラスが発生しているみたいだ。間奏に入るさい、それまで疾走感をともなっていたギターがブレイクするタイミングで、ベースが印象的なラインをなぞりはじめるのも味わい深く、メンバー四人のスキルが、とても良いバランスでまとまっているのがわかる。前前任者のリッチがドラムとして復帰しているのも全般的に大きい。パワフルに叩き出されるリズムは、ふんだんに用意されたダイナミックな展開に、とてもよく似合っていて、アグレッシヴさ加減の強烈な10曲目「DESTROY ALL MONSTERS」などは、彼のドラムなしでは、これだけのクオリティを保てなかったであろう。また、94年の『FISHING FOR LUCKIES』を彷彿とさせなくもない、8分台の長尺なナンバーが2曲も収録されているのだけれど、これがね、いくとおりものフックたる複雑さを設けることで、だれず、しかも緊張の満ちたさなかに、ポップなフィーリングを全開にしているのだから、すごく愉しい。と、まあ長所のみを挙げてきた調子だが、いやいやほんとうに、総じて引きが強く、プラスの評価で見るべき点の豊富に詰まったアルバムなので、結果的に、そうなるわけだ。

 ライヴ盤『STRIKE BACK』について→こちら

 バンドのオフィシャル・サイト→こちら
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽(07年)
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