ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2007年04月20日
 Wネーム 5 (5)

 葉月京は、ことによるとポスト村生ミオ的な道を歩みつつあるのかな、と感じる。いや、何もそれは性的な描写の多さを指していうのではなくて、そうした性的な描写が、物語のレベルと深くシンクロし、登場人物たちの心理をおおきく左右する要素として、表現そのものの説得力を強めている部分のことである。これがどういう意味であるかは、(おそらく時代的な背景のせいであろう)トレンディ・ドラマ的な展開から中途サイコ・サスペンスへと転調し、その後の作家性までをも決めてしまった村生ミオの『サークルゲーム』を読んでいただければ、よりわかりやすいと思うのだけれども、性風俗にまつわる事象が話の筋のなかでたんなる情報としてのみ機能するのではなく、複数の人間関係を濃厚にする要素となると同時に、一種異様なテンションを後押ししているという意味で、まさしくこの葉月京の『Wネーム』などもそのセンにあり、たとえば、もてもてのエリート会社員でありながら女装癖のある少女マンガ家という男性主人公の造型や、その同僚で足の悪く歩けない妹のために高校生と偽り隠れて援助交際をするヒロインの造型の、そういった二面性が『Wネーム』というタイトルの由来なのだろうが、そこの設定がスキャンダラスである以上に、どろどろとした愛憎劇を盛り上げていくあたり、すぐれて効果的な演出になりえている。表向きは大っぴらにセックス(性交)が描かれていながらも、そのじつ、登場人物らの憂鬱なエモーションが、作品の磁場を形成しているのである。とはいえ、その結果シリアスに傾きすぎず、陽性のギャグを残してあるところに、このマンガ家ならではの手つきが見える。
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ(07年)
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