ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2007年04月19日
 バイキングス 3 (3) 

 自転車を扱った少年マンガというのは、そもそもの絶対数が多くないにもかかわらず、なぜか良作ばかりが揃っている印象を受ける(ぱっと思いつくだけでも、むろん曽田正人『シャカリキ!』を筆頭に、乗峯栄一・井ノ内 貴之の『輪道』、安田剛士の『OverDrive』などがある)わけだが、そうしたなかにもう一作、このマンガは絶対に加わってくるべきだ、と、つよく推したいのが風童じゅんの『バイキングス』である。高校生でありながら、ロードレースの世界ではそこそこ知られ、自信に満ちた毎日を送る宮田すばるにしたら、ドジばかりして不器用な同級生の一本木一途(いっぽんぎいっと)は、目障りな存在でしかなかったのだが、しかしあるとき、家業のラーメン屋の出前の手伝いをすることで鍛えられた一途の、驚くべき脚力を目の当たりにし、彼をロードレースの世界へと導くのであった。名が体を表すかのように純粋な一途は、そうして目の前に開かれた真新しい景色に魅了される。と、以上が事の成り行きであり、この3巻では、2巻に引き続き、はじめてのレース(チームレース)に参加した一途の奮闘が描かれているのだけれども、その未熟さゆえにいくつもの失敗を重ねながらも、けっしてゴールを諦めない姿に胸を打たれる。正直なところ、自転車のロードレースものとなると、主人公の造型も含め、どうしても曽田正人が『シャカリキ!』で拓いたステージからは逃れられず(つまり、かの作品がそれだけ偉大だったということで)、『バイキングス』もその例に漏れないのだが、あくまでも自転車を走らせることの、そのファンの部分を前面に伝えようとする作者の意識が、おおきな差異として働きかけてくる。それは一途とすばるが、自分たちの高校に自転車部を作ろうとするエピソードに顕著で、こういう、肩の力の抜けた雰囲気をつくれることが、逆に頼もしく感じられる。
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ(07年)
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

この記事へのトラックバック