ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2004年07月31日
 前半はともかく、後半の筆力(とくに「そう」という言葉の連呼によってビルの倒壊を夢想する場面)が印象的な力作である。けれども、全体を総括するには、すこし作りが複雑になっていて、おそらく『群像』6月号の「創作合評」で星野智幸が披露した、父性の去勢のようなものがテーマとしてある、という読みがもっとも納得のいくものであるが、しかし、そこにストンと落ちてかない、吉田修一特有ともいえる粘着性が、じつは僕はちょっと苦手だったりもする。
 従来の吉田作品と同様、物語のなかに複数の視点(ここでは2つ)が存在している。それらはニアミスはするが、基本的には、交差しない。そのネジレみたいなものと、イメージとディテールの連なりが、「O‐Miya スパイラル」という巨大な建造物に、象徴的に、表されているのだと思う。
 ぜんぜん話は変るが、帯に村上龍が推薦文を寄せていて、たとえば村上の小説などでもそうなのだが、埼玉辺りに住んでいる人間の描写には、どこか負け犬感がつきまとう。この小説も舞台は、大宮なのだけれど、その負け犬感みたいなものがちゃんと存在していて、たしかにそれはリアルではあるのだけれど、僕のような埼玉在住の人間としては気になる、居心地の悪さを感じるところである。って、そんなことは激しくどうでもいいな。まあだから要するに、郊外というか、地方都市の憂鬱というやつだ。
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | 読書。
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