ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2013年12月07日
 聖闘士星矢セインティア翔 1 (チャンピオンREDコミックス)

 マサミストとしては、既にアナウンスされている高河ゆんの『車田水滸伝』が非常に楽しみである。が、手代木史織の『聖闘士星矢 THE LOST CANVAS 冥王神話』といい、そしてこの久織ちまきの『聖闘士星矢 セインティア翔』といい、車田正美作品のブランドが女性マンガ家によって守られていくというのは、同人誌の大昔の時代からの定めなのか。もちろん、由利聡の『風魔の小次郎 柳生暗殺帖』であったり、岡田芽武の『聖闘士星矢 エピソードG』であったり、男性マンガ家(由利聡って男性マンガ家でいいんだよね)が手掛けた派生作品、公式二次創作もあるにはあるものの、前者は長らく連載が中断したままであるし、後者を入れたところで、数の上では女性マンガ家の活躍の方が目立ちはじめているのは確かだ。

 さてしかし、1巻が出た久織ちまきの『聖闘士星矢 セインティア翔』は、同じ『聖闘士星矢』のヴァリアントであっても、『聖闘士星矢 エピソードG』や『聖闘士星矢 THE LOST CANVAS 冥王神話』と、いくらか格好が違っているのは、それが女性を主人公にした物語となっているためだ。男性の登場人物たちの対決と共闘の相関図が、やはり車田正美作品のコアであろう。マサミズムとは本来、男のロマンと同義であったはずである。歴史を振り返ったとき、『スケ番あらし』の荒神山麗はむしろ稀少だったのであり、男勝りである女性のイメージは『リングにかけろ』の高嶺菊や『風魔の小次郎』の柳生蘭子に受け継がれはしたけれど、それらも次第に物語の後景と化していった。もちろん、『聖闘士星矢』にも『B'T-X』にも女性の戦士はいる。いた。が、それが作品の中核になるというのは異例のことと思う。そう、『聖闘士星矢 セインティア翔』に描かれているのは、正しく女性の聖闘士(セイント)が拳を握っていくバトルなのであった。

 現代に女性の聖闘士が描かれることのセクシュアリティにおける意義、あるいは需要については、サブ・カルチャーのその手の研究をしている人間に任せるとして、ただし『聖闘士星矢 セインティア翔』には、マサミズムに通じる大見得は(今の段階では)あまり感じないねえ、というのが正直なところである。意匠としては少女マンガのファンタジーの方に近いものがある。たとえば武内直子の『美少女戦士セーラームーン』の原型に『聖闘士星矢』を見ることができるとしたら、どちらかというと『美少女戦士セーラームーン』のフォロワーに位置付けられそうなところがある。まあ、こうしたトランスフォームの歴史についても、サブ・カルチャーのその手の研究をしている人間に任せたい点ではある。

 オリジナルの『聖闘士星矢』にも魔鈴やシャイナのように女性の聖闘士が存在したが、『聖闘士星矢 セインティア翔』の主人公である翔子が彼女たちみたいな仮面を装着していないのは、〈本来アテナ様を守護する聖闘士は男子のみ〉であって〈女子が聖闘士になるためには女であることを捨てなければならないという掟が〉あるのだけれど〈しかし処女神アテナ様が人としてご降臨されたとき〉〈ごく身近でお身体のお世話をすることを許されるのは女子のみ〉であり〈その役割を受けもつために女子のまま聖闘士となる者が特例として数名みとめられてきた〉わけで〈すぐれた素養をもち 純潔かつ完全なる「女子」のみがその資格を得る…〉のだし〈アテナ様側近の侍女ともいうべき特別な聖闘士〉それが聖闘少女(セインティア)だという設定が(当然、後付けで)用意されているためだ。この設定はただちに『聖闘士星矢 セインティア翔』が、少女が少年の役割を肩代わりするタイプのお話ではなく、少女が少女のままで少女の役割を果たしていくタイプのお話であることを示唆している。

 結局のところ、正式な続編は車田本人の『聖闘士星矢 NEXT DIMENSION 冥王神話』にしか許されないのか。基本的には『聖闘士星矢 THE LOST CANVAS 冥王神話』がそうであったように、『聖闘士星矢 エピソードG』がそうであったように、『聖闘士星矢 セインティア翔』もまた、『聖闘士星矢』本編のプリクエールだといえる。銀河戦争(ギャラクシアンウォーズ)開催以前、姉である響子の後を継ぎ、城戸沙織(アテナ)の聖闘少女になることを翔子は誓うのだった。あの黄金聖闘士も本筋に深く関わってきそうだし、『聖闘士星矢』初期の超重要人物である辰巳(!)も出てくる等のファン・サービス(?)もあるよ。
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ(2013)
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