ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2007年04月01日
 新・味いちもんめ 19 (19)

 倉田よしみの『新・味いちもんめ』も、早いもので19巻である。ストーリーをつくる人間が交代した(原作者のあべ善太が他界した)ため、無印の『味いちもんめ』全33巻とは、主人公の伊橋が板前だという設定以外は、ほぼ繋がりを持たないマンガになったといえるけれども、無印の世界観を継承しつつ、今なおワン・エピソード単位の物語で連載を続けている点は評価したい。しかしながら、伊橋がすっかりと京都に居付いてしまって以来、ルーティン・ワークに陥っている観も否めず、だいたい伊橋だってもういい歳だろうに、出世もさせないで、まだ下積みをやらせようとするあまり、舞台を京都に移したようなものだから仕方がないとはいえ、さすがに辛くなってきたところで、東京へ戻るかどうかを左右する展開が訪れそうな予感を孕み、次の巻へと続く。まあ、それすらも過去に数度繰り返されたパターンではあるが、いや、さすがにもう東京に戻してもいい頃合いなのでは。と、そのへん、どう転ぶのか、あんがい、このマンガの今後にとっては山場である。ところで、この巻には「すっぽん豆腐」というエピソードが収められている。このような料理マンガには今どき珍しくもない、料理店等に対するインターネット上の評価を題材にしたものなのだけれど、他の作品における、そうした手の話に比べ、無理なくまとまっているように思う。ブログのシーンでは有名らしい若者が、伊橋が働いている店を訪れ、自分の記事によっては〈店の流行りにも影響が出るらしいよ。実際、ボクが批判して潰れちゃった店もあったっけ〉と自慢げに、さらに京都料理を否定するのを、たまたま居合わせた陶芸教室の先生が、〈好き嫌いがあってもいい〉けれど、たとえば陶芸の世界にも様々な種類の器があり、〈それぞれに良さがあり、美しさがある。しかし、それを使う人の好みは多様〉なのであって、同様に〈自分の主観だけでお店や料理の善し悪しを書くのはいかがなものでしょうか〉とたしなめれば、カリスマ・ブロガー(いやはや)は〈まずいものをまずいと書いてなぜ悪い!!〉と反論するのだったが、そこで〈「文責」という言葉はご存じですか?〉と来るわけだ。もちろん、ここにあるのは匿名批判はいけないよ、という単純な理論ではなくて、要するに、批評するさいの姿勢こそを問うているのである。

 以前の雑感→こちら(言うまでもなく、無印の『味いちもんめ』のほうもその後一通り読み終えたうえで、上記エントリを書いております)
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ(07年)
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