ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2013年07月27日
 ReReハロ 1 (マーガレットコミックス)

 海野つなみの『逃げるは恥だが役に立つ』と南塔子の『ReReハロ(リリハロ)』は序盤のプロットが非常によく似ている。もちろん、登場人物の世代も作品の本質も支持層もその後の展開もまったく異なっているのだから、単なるシンクロニシティでしかないし、まあ女性向けのマンガに定型的なパターンといってしまえばそれまでの話なのだったが、つまりは次のようなものである。

 金銭的には裕福な一人暮らしをしている男性のもとへ、成り行きからハウスキーパーとして訪れることになったヒロインに対し、雇い主であるその男性の態度はいくらか硬直的であった。家事全般を的確にこなしていくヒロインの能力を高くは買うが、それは契約上当然のことにすぎない。しかし、ある日、男性が体調を崩してしまう。熱を出し、弱まっているところ、ヒロインが看病に訪れるのである。あれこれ世話を焼き、気遣ってくれる彼女の姿を見、男性はついつい態度を軟化させるのだった。

 こうしたプロットを受け、海野ならではの(すぐれた批評性と換言してもいいような)ユーモアを交えながら、結婚という制度、現代的な成人のリアリズムを解体、再構成しているのが『逃げるは恥だが役に立つ』だといえる。他方、『ReReハロ』の場合、主体はあくまでも未成年であって、ティーンエイジャーのラヴ・ロマンスこそが最大のテーマであろう。無論、南のきらきらとした作風もそこで生きてくる。

 序盤のプロットは先に述べた通りである。便利屋を営む父親がピンチのため、かわりに依頼を引き受けたヒロインの早川リリコは、そこで同い年の高校生、金持ちの息子である周防湊に出会う。最初の印象は必ずしもよくなかった二人だったけれど、次第に距離の縮まるその様子がラヴ・ロマンスに落とし込まれている。リッチに過ごしている坊ちゃんは正しく王子様の立場にあり、貧乏暮らしをしているヒロインのヴァイタリティが彼の心を開かせるというのも定型的なパターンではある。

 だが、いいんだよな。少なくとも1巻の段階では、リリコと湊の、カップルとは見なし難く、まだ恋愛感情とは断定しえない、そういう妙ちきりんな関係がとてもいい。普通だったらエモーションが引き出されそうな場面、寸前に息継ぎの「間」を挟み、その「間」を通じることで、やさしいコメディに終始する二人のコミュニケーションに思わずニッコリさせられるのだ。

 饒舌にモノを語るのではなく、読み手の意識をリリコのリアクションに誘導し、同一化させていくかのような湊の視線、それが作中のおいては重要な効果をなしている。
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ(2013)
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