ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2007年03月16日
 スプラウト 4 (4)

 片想いというのはとかく苦しい。それはもう疑いようのない真理だ。と思う。感情は一直線に出口へ向かい急いているのに、あらかじめ出口が塞がれていると感じられるときなどはとくにそうで、自分で自分の気持ちでしかないものに窒息させられそうにもなる。当事者にしてみれば、救いとなるのはただひとつだけ、なのにもかかわらず、その救いに手が届かないことに、救われず、苦しい。かくして草平への想いが高まれば高まるほどに、実紅の寂しさはぐっと確かなものになってゆく。南波あつこの『スプラウト』4巻である。下宿人たちとキャンプに出かけた夜、成り行き上の中途半端なかたちで、草平に自分の気持ちを打ち明けてしまった実紅であったが、今付き合っている彼女(みゆ)を大事にする草平は、それに気づかないふりをする。ワキの登場人物たちの個性がうまく活かされていないこともあり、ひとつ屋根の下で暮らす、という部分に関してはあまり褒めないのだが、主人公の心理を観察し、つぶさに記録するかのようにして描かれる挙動からは、(今のところ)三角関係にすら及ばずにある、一方通行の恋におけるしんどさがよおく伝わってくる。若いがゆえのナイーヴさというのは、ともすれば世間知らずと同義でしかないが、しかし、だからこそ痛みや苦しみは、鮮明さを為して、感情に深く、刻み込まれることに気づかされるのである。

 2巻について→こちら
 1巻について→こちら
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ(07年)
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