
『マトリックス』続編のサントラにもちょこっと顔を出していた、デフトーンズのヴォーカル、チノ・モレノによるサイド・プロジェクト、チーム・スリープが、いよいよ本格的なアルバムを発表した。とはいっても、クレジットをみるかぎり、チノが関わっていないナンバーもあり、あくまでも参加したメンバー各人の創作意欲によって作品が成り立っている、という趣だ。やかましさは極力抑えられ、憂いを帯びた穏やかな表情が、かなり切々と奏でられている。全体のトーンとしては、スマッシング・パンプキンズの『アドア』あたりを思い浮かべて欲しい。アメリカのモダンなサイドから、ニューウェーヴ的なロマンティシズムへとアプローチした風である。複数のプロデューサーが起用されているが、ロス・ロビンソンの手がけた5曲目などは、かなりデフトーンズしているけれども、ギターはメタリックな響きをドライヴさせるのではなくて、ビューティフルなノイズを描くことに尽力している。8曲目、淡々と静かに鳴る打ち込みとピアノの旋律をともない、メランコリーをうたう女性ヴォーカルの吐く息は、きっと白く、その白さは霧雨の冷たさに似ている。このアルバムのなかに蠢くエモーションは、生ぬるい敗北感や連帯を拒み、ただただ寂寥の深みで、渇いた光を探し当てようとしているみたいだ。
