このテイキング・バック・サンデイのセカンド・アルバムが、とても素晴らしいのは、バンドの持つソング・ライティングのセンスが遺憾なく発揮されているからである。と同時に、そのことによって、彼らが伝えようとするものが、明瞭なまでに表されているからなのだった。
ここで扱われているのは、(前作もそうなのだが)「きみとぼく」にまつわる問題、言い換えれば、ラヴ・ソングに近しいものばかりだけれども、惚れた腫れたの心情ではなくて、切った張ったの勢いで迫ってくるのは、現代においては、たとえば「世界情勢」や「政治的オピニオン」などといった社会的な関心が、我々のアイデンティティを傷つけたりすることは少なく、むしろ、ごく個人的な領域で起こる出来事が、ときに死を選ばせるほどのダメージを寄越す、それへのリアクションが「自身」というものを形成するからだろう。なるほど、そこには、たしかにこの時代ならではのリアルさがあり、それに感応するのがエモーションというものなのである。
ねえ君、僕たちの感情はどこに宿るのだろうか。僕たちの感情は「ここに」そう言いながら君が指差したのは?