ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2007年01月26日
 君に届け 3 (3)

 たとえば24ページいちばん左下のコマ、爽子(貞子)と龍の斜め上なやりとりを見た吉田(ちづ)の〈こいつらちょっと似てるとこあるよな〉というツッコミ調の発言や、たとえば40ページで好みの(異性の)タイプを尋ねられた龍が〈にぶくて単純な奴?〉と、これは作外の読み手には、その尋ねた吉田を思わせたりもするけど、当の吉田はやはり「にぶくて単純」なので、右下のコマで〈にぶくてたんじゅん……やっぱ貞子みたいな……?〉というボケた発言をするのに、注目されたい。まあそれら二つの箇所は、正確なセリフとしてはカウントされないような手書き文字であるし、物語の進行そのものに大きく関わる部分ではないが、しかし、このマンガにおける人間関係への、わかりやすく、的確な指摘になっている。要するに、「にぶくて単純」な似たもの同士が、椎名軽穂『君に届け』には集められている。いや矢野にはすこし引いたところがあるけれども、「にぶくて単純」はもちろん、風早に関してもいえることであろう。そうしたグループを中心に据えた作品であるから、ここ3巻での、どうにも腹黒そうな胡桃沢(くるみ)の本格的な登場はやはり、ひとつの違和として表現されることになるわけだ。胡桃沢は、自分と風早とを指して〈わたしたち……ちょっと似たようなところあるからなあ…………〉と言うが、本質的に似ていることと、表面上を似せることとは、当然のように、まったくべつである。だからというのもあって、ふつうラブコメ等で恋のライバルふうの登場人物が出てくると、すわ三角関係か、と、やきもきさせられ、それが一種の読み応えになるものだけれど、ここでは、矢野の〈さーて くるみちゃんの思惑どおりに事が進むもんかね〜〜〉といった言葉が示唆的であるとおり、やや異なる反応を読んだそばから引き出される。そういった恋愛沙汰以前に、あくまでも「にぶくて単純」な主人公の気持ちをどう動かすか、に重点の置かれたつくりが、次巻以降の展開を期待させるのだった。

 2巻について→こちら
 1巻について→こちら

・『CRAZY FOR YOU』
 6巻について→こちら
 5巻について→こちら
 4巻について→こちら
 3巻について→こちら
 2巻について→こちら
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ(07年)
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