
良い。良い。すごく良い。槙ようこの『たらんたランタ』は、1巻を助走に、この2巻で完全に軌道に乗ったという感じである。登場人物たちはみな、生き生きと、とても賑やかに、ときにぐっとくることを言う。ローIQの強みで誰彼かまわぬ親密さを発揮する主人公のヒカルはもちろん、てっきり噛ませ犬でしかないと思っていた三木や勝人らワキの、他人の気持ちを慮る、そのハンサムな振る舞いには、なにか、こう、明るい気分にもなるような勢いで、読みながら、このキュートなやりとりの世界にできるだけ長く浸っていたいものだな、と願うのだけれども、じつは全2巻で完結しちゃったのを知り、ひじょうにショックだ。潤の家族とヒカルが接触したあたりから、いかようにも物語を展開することは可能だったはずなのに。まったく、この作者は長いものを描けないのかしら、それとも、これ、そんなに人気がなかったのかなあ。いずれにせよ、そうやって終わりを認めるのが残念なぐらい、楽しく愉しい時間を過ごさせてもらった。
1巻について→こちら
・その他槙ようこに関する文章
『STAR BLACKS』
2巻について→こちら
1巻について→こちら
『愛してるぜベイベ★★』
7巻について→こちら
6巻について→こちら