ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2007年01月14日
 タイヨウのうた

 本作は『タイヨウのうた』という映画の、みきもと凜によるコミカライズで、その元になった映像版を僕は観たときがないのだけれども、それでも恋愛中のカップルのどちらかが何かしらかの理由で(若くして)亡くなる類の、いわゆる難病ものであるぐらいの知識は持っていて、いや、ま、たしかに読んでみると、そのとおりの内容に他ならず、あたかも、泣くこと、泣かせること、に機能を特化したかのような物語が展開されており、こういった作品には、自然と評価が辛くなってしまうのだが、しかし、喪われることを悲劇に留めない登場人物たちの前向きさには、すこし、見習いたいところがあるな、と思う。〈ベビーピンクの淡い月がきえかかるころ / 彼はあらわれる〉。紫外線に関わる病のため、太陽光を浴びられない主人公の薫にとって、外出ができるのは深夜に限られており、その自由になれる時間を彼女は、路上での弾き語りに費やし、日の出前には家へと帰らなければならない。そうした暮らしのなかにあって、ひとつの励みであり、希望は、窓の外にときおり見かける同世代ぐらいの男子への恋心であった。要するに、その孝治という〈太陽の似合う男の子〉と薫が、やがて出会い、付き合うようになり、死別するまでが描かれており、そこで正直、両親や不登校の友人の感情など、ワキの部分があまり掘り下げられていないのは不備に感じられなくもなく、まあそれがこのマンガ版に限定されたことなのかどうかはわからないが、ここではしかし、作者の技術的な拙さをフォローするかのようにコマ間の繋がりには忙しさが溢れ、それがまた妙に作中関係の短絡的な有り様にマッチしていて、一種トラジック・コメディともとれる、つまり本質的には暗い話の、その全体像を明るく照射している点がおもしろい。
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ(07年)
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