ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2005年04月21日
 いつも旅のなか

 角田光代というのはつねに「ここではないどこか」を探し続ける運動である。そして、それはとても90年代的なものであると思う。じっさいに00年代以降の作家(表現と言い換えてもいい)になると、「ここではないどこか」という存在自体をナシにした地盤の上に立っているような感じがする。ゆえに、ものすごいアパシーが吹き荒れていたりもするのだ。角田の小説に登場する人物たちの多くが、旅に出たり、旅に出たがったりするのは、そういったことと関係している。「ここではないどこか」というのは、もちろん、「自分探し」とほぼ同義である。しかし角田のエラいのは、最終的には「ここではないどこか」になどは行けない、そういうところまで書いてしまうところだろう。すべてが日常と繋がっている。けれども夢想することはやめない。そして間断のない運動が続けられてゆく。これは小説ではなくて、海外旅行をテーマにしたエッセイをまとめたものであるけれども、基本線はいっしょである。過剰なほどに異国を楽しんでいる風ではないのに、ふいに日本的なものを見つけてしまったときのゲンナリ感こそが、この作家の本質だ。旅に誘われるというよりは、彼女の内側で起った感情のウェーヴを追体験するようにして、読んだ。個人的に好きなエピソードは「旅と年齢」、それか「いのちの光」かな。

 『人生ベストテン』についての文章→こちら
 『対岸の彼女』についての文章→こちら
 「神さまのタクシー」についての文章→こちら
 『庭の桜、隣の犬』についての文章→こちら
 『ピンク・バス』についての文章→こちら
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | 読書。
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