ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2006年12月21日
 チェリッシュ

 吉住渉が、少女の出てくる少女向けのマンガを描くという意味で、まさしく少女マンガ家であるといった意見に反論は少ないに違いない、が、その吉住が大人女性向けに『コーラス』誌で発表した二篇をまとめたのが、この『チェリッシュ』になるのだけれど、まあたしかに年齢層の高い登場人物たちを扱ってはいるにしても、いやなに、これまでのイメージどおり、屈託のない作風は健在のままだといえる。たとえば表題作「チェリッシュ」の、血の繋がらないゲイのカップルを両親に持つ大学生といった設定は、現実的にはどうであれ、フィクションの世界ではそれほど奇抜なものではなく、たいていそうした環境が、いかに悩ましいものであるかを強調することで、ドラマが形づくられていきがちだが、ここでの主人公である千紘の健全さは、世間からの視線をまったく気にする様子がない、そのため、初恋の男子との再会や実の親の存在をもって、物語は展開されることになるわけだけれど、それというのはべつに、少女向けのマンガでも十分に出来ることではないか、という気がしてくるし、もうひとつの作品「ハピネス」も、好きになった女性の別れた夫が有名な芸能人だったというシチュエーション自体、すこし、浮き世離れの感がある、あるいは一種の少女趣味であろう。だからといって、悪いと判ずることができないのは、そうした諸事情が、装飾程度の役割しか果たしていないというのではなく、内容の重要な部分と不可分に結びついているからで、つまり作者のキャリアを考えたさい、やや肯定的な見方過ぎるかもしれないけど、今までの作品であったならば、『マーマレード・ボーイ』など、特殊な環境に置かれた少女たちが主人公になることが多かったわけだが、ここでは、その特殊な環境をもたらした親の立場のほうへ、焦点が合わされている、ともとれる。


posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ(06年)
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