ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2006年12月17日
 打撃王凛 8 (8)

 〈本当に帰ってきやがった…18.44mの空間を最短距離に縮めトップスピードでかけぬける“豪腕戦闘機”が目の前に――!!!〉。完全復活したやっちんの速球が、かつてのチームメイト緑北シニアのメンバーたちから次々と三振を奪ってゆく、このことが、凜と緑南シニアの仲間を〈やっちんのこの勢いはもう誰にも止められないぞ!〉と勇気づけるが、しかし優勢なのも束の間、キャッチャーである凜の未熟さを突く、超高度で理知的な技術に、手痛い失点を喰らわされてしまうのであった。佐野隆『打撃王(リトルスラッガー)凜』の8巻である。このマンガにおける試合の運びは、余計な要素を持ち込まずに、精神戦と、ほぼ同義だといえる。すくなくとも主人公サイドの緑南にとっては、そうだろう。すなわち彼らの心の動きが、攻守の首尾へと、直截的に接続される。これまで頼りにしてきたやっちんと凜のバッテリーが打ち崩されることで、バックのメンバーは動揺し、うろたえ、緑南はピンチに陥るのだが、それを乗り切るため、今度は打席に立ったやっちんと凜のふたりが奮闘する、文字どおり「奇跡の瞳」と呼ぶに相応しい凜の資質が発揮される、というのが、ここでの最大の見せ場になるのだけれども、相対する「氷の刃(アイスエッジ)」と称される中根の、その只者ではないピッチングが、安易な逆転劇を許さないおかげで、4回裏のこの時点で、すさまじいクライマックスぶりを迎えている。一方で、緑南の他の面々の、立ち直るのも早いが、挫けるのも素早い、二線級の振る舞いは相変わらずなのだが、いやいや、そうとも言い切れない、心の成長ぶりが、どうやら反撃の筋道を描き出しそうな感じで、こちらの関心は、テンションの高まったまま、次巻へと引っ張られる。

 7巻について→こちら
 6巻について→こちら
 5巻について→こちら
 4巻について→こちら
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ(06年)
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