ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2006年12月15日
 白亜紀恐竜奇譚竜の国のユタ 1 (1)

 佳作『DINO2』で惜しみなく発揮された、恐竜に関する知識と愛情とを、真っ向から少年マンガしているフォーマットへと落とし込むことで、所十三は、安易に先読みできない展開の冒険活劇をここに作り上げたといえよう、『白亜紀恐竜奇譚 竜の国のユタ』の1巻である。竜の国に暮らす少年ユタは、野性の竜たちから隊商を守る竜使いの新米として、子どもの頃から家にいる老いたパキケファロサウルスのジサマとともに、はじめてのガイドに出るのであったが、しかし道中、高地では滅多に遭遇することはないはずのティラノサウルス・レックスに襲われてしまい、一行が退避するなか、彼ら一人と一匹だけが逃げ遅れてしまう。〈生きるか死ぬかの修羅場をくぐり抜ける技と運 そのどちらが欠けても竜使いは生き残ることはできねぇ〉。他の竜使いからも見捨てられ、あわや、という場面で、〈大丈夫だ 恐れずともよい 逃げる必要もない〉というジサマの力強い声が、ユタには聞こえた。そのような、恐竜の言葉を理解する不思議な資質の備わっていることが、おそらくは主人公であるユタを、作中でキー・ワードのように扱われている「閉ざされた環」なる事象をめぐった、巨大なストーリーの中心へ向かい、進ませることになるわけだ。が、何よりも、人類と恐竜という、生態系も違えば、理も異なる二つの種が、共存している世界の、自然なつくりに、作者の想像力の確かさを感じられる。また、未熟なユタを言葉少なにリードするジサマのコンビも、王道といえば王道で、そのオーセンティックな手触りも、良い、じつにいい。
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ(06年)
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