ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2006年12月10日
 いっぽん! 14 (14)

 結果的には、北村に真道という二大ライヴァルと相まみえることなく、つまりストーリーのレベルにおける最大の結着はつけられずに完結してしまったわけだ、が、春を中心とした酒高柔道部員たちの成長に焦点を合わせれば、十分に納得のいく展開になっているし、逆に、連載の終了が前提にあったのだと仮定したなら、せめてそこまでをちゃんと描ききった作者は立派だったと思う。佐藤タカヒロ『いっぽん!』の最終14巻である。選手権地区予選、無差別級個人戦は、終盤において、勝ち残った酒高メンバーたちによる同校対決の場となった。これまでともに励んできた各人の、だからこそ譲れない意地と意地の、壮絶なぶつかり合いが繰り広げられるなか、柔道に出会えたことや、今の仲間に出会えたことの喜びが再確認される。そして、ついに迎えた決勝では、春と、その春を酒高に導いた五十嵐との直截対決が実現したのだけれども、これが読ませるのは、スポーツ・マンガまたは格闘技マンガの、こういうクライマックスのパターンとしては、フィジカルにメンタルといった二項のうち、どちらかが片方を凌駕するかたちで勝敗がつけられることが多く、じっさいにそれは燃える。しかし、ここでは、対決している両者の、肉体的にも精神的にも窮極へと引っ張られたところから、さらにひとひねり加えられており、ラストの、文字どおり一本が決まるまでのあいだに、けっして予断を許さないスリルと、その死闘とも呼べる瞬間の積み重ねが、思わず胸の熱くなるドラマを屹立させている。そういった意味では、最後の最後まで、余すことなく魅せてくれた。

 14巻について→こちら
 9巻について→こちら
 8巻について→こちら
 7巻について→こちら
 6巻について→こちら
 4巻について→こちら
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ(06年)
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