ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2012年09月01日
 SOUL 覇 第2章 2 (ビッグ コミックス)

 赤壁の戦い、である。ここ最近、小説でいうと酒見賢一の『泣き虫弱虫諸葛孔明 第参部』を読み、マンガでいうと青木朋の『三国志ジョーカー』の4巻を読んで、揃いも揃って赤壁の戦いであるな、と思ったのだが、マンガでもう一つ、武論尊(原作)と池上遼一(漫画)による『SOUL 覇 第2章』もまた、この2巻で、赤壁の戦いを繰り広げているのだった。思わず、「三国志」(三国志演義)を題材にしたフィクションの世界では赤壁の戦いがブームなのか、と言いたい。が、それはともかく、いずれの作品も、アプローチは完全に異なっていながら、かなりの無茶をやっていて、そこが愉快ではあるのだけれど、『SOUL』の場合はもはや、これ、『三国志』じゃねえ、というところにまでいきかけているのだよ。

 いや、確かに前身の『覇 -LORD-』の段階で、これ、『三国志』じゃねえ、いつも通りの武論尊と池上遼一だ、と言わざるをえなかったのだが、しかし『SOUL』になり、それはより一層濃くなっているのだ。大体、『SOUL』における赤壁の戦いとは、自分が倭人であることをバラした劉備(a.k.a.燎宇)が、曹操や周喩はもとより、諸葛亮ばかりか、関羽や張飛をも敵に回して、大規模な水上戦と陸上戦を繰り広げる、というものなのである。諸葛亮は、下克上よろしく劉備に宣戦布告をかまし、敗走した曹操を助けた関羽と張飛が、そのまま曹操軍に加わってしまいそうな勢いなのである。天下三分の計どころではない。野望をギラギラさせた連中が血気盛んに入り乱れ、所属関係なしに命(タマ)の奪い合いを果たしていくのである。卑弥呼の軍を招き寄せた劉備が大陸に対して全面戦争を仕掛けているのは、イデオロギー的に日本の中国侵略の比喩として解釈される余地を持っているけれど、やはり、アウトロー風情が犬死にをおそれず、己の正義を生き様によって語ろうとしているところに、このコンビならではの醍醐味が存分にある。実際、こんなにも知性より欲望を丸出しにした諸葛亮はほかになかなかいない。

 しかしまあ、劉備が常元を傘下に置くような展開を一体誰が望んでいるのか、という気がしないでもない一方で、主人公が周囲の期待に反して下衆な人物と手を組むのは、そういや、このコンビにお馴染みのパターンであったな、と思うし、若輩の人物が目上の人物に予想外の説教をされて衝撃を受けるシーンなども、「三国志」とは関係なく、ある種の様式美だろう。

 1巻について→こちら

 『覇 -LORD-』
  19巻について→こちら
  17巻について→こちら
  16巻について→こちら
  15巻について→こちら
  14巻について→こちら
  13巻について→こちら
  12巻について→こちら
  10巻について→こちら
  9巻について→こちら
  7巻について→こちら
  6巻について→こちら
  5巻について→こちら
  3巻について→こちら
  2巻について→こちら
  1巻について→こちら

・その他武論尊に関する文章
 『DOG LAW』(画・上條淳士)について→こちら
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ(2012)
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