ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2006年11月26日
 Walkin’Butterfly 2

 あら。そういえば、『ease』って新しいの出ていないよね、と思い、この2巻掲載分の初出を確認すると、現在は携帯サイト『コミックWALKER』で配信されているらしい、たまきちひろの『WALKIN' BUTTERLY(ウォーキン・バタフライ)』は、際立った身長の高さと明け透けな性格ゆえ、周囲の男性から、かわいい女の子として見てもらえない、そのせいで自分に自信の持てない主人公、寅安ミチコ(通称トラ)が、ようやく発見した可能性として、(ファッション)モデルの世界に臨んでゆくという、ある種のコンプレックス・パーソンを扱った内容となっており、もちろん、だからこちら読み手の期待は、ミチコの意志と覚悟が彼女の美しさを開化させることに一致する、のだけれど、なかなかそうなってくれない。まだ短い物語であるにもかかわらず、落ち込んで、立ち直り、また落ち込んで、ふたたび立ち直り、のルーティンに陥ってしまっている。ことによると怠惰で向上心のない繰り返しにも見える。すくなくとも、上昇の勢いは、ない。なぜなのか、を考えれば、それほど複雑ではない説明をつけられるであろう。作中のあちこちに散りばめられた、そのままでいんだよ、と、このままじゃいけない、という本来ならば相反する二項のメッセージが、あたかもダブル・バインドのように、ミチコを拘泥し、作品の主題をも宙づりにしてしまっているからだ。あるいは展開を定型的に捉まえるなら、今後にミチコは、彼女がモデルを目指す直截の原因となった敵役のデザイナー三原や、彼女が所属する事務所の社長でモデルのあれこれを教授する多湖ら、ワキの登場人物たちを乗り越えていかなければならないのだとすると、正直な話、対等に渡り合うとまではいかなくとも、勝敗を持ちかける云々のレベルにすら達していない。が、しかし、ときおりミチコが見せるガンバリストぶりは、ひじょうに魅力的で、たとえば、この巻でいうと、何度もオーディションに落とされてもなお挫けない態度が、はからずも三原を励ます場面などは、えらく気持ちを昂ぶらせる。それというのは、要するに、自分探し的とでもいおうか、アイデンティティを模索するうえでの右往左往自体が安易に目的化されてしまう、そういう白々しい本末転倒を、一時的にだとしても打破してみせる、心強い表現になっているためである。
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ(06年)
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