ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2006年11月13日
 零崎軋識の人間ノック

 あまり小説の類をキャラ読みしない、ほとんどできない、僕のようなタイプの読み手には、こうした、本編の細部を埋めていく以上になっていかない、あくまでもサイド・ストーリー的な位置にとどまる物語は、とくに嬉しいというほどではないのだけれど、しかし哀川潤の規格外さ加減だけは、いやいや、怒濤の勢いで迫ってくる存在感があるよ。と、西尾維新の『零崎軋識の人間ノック』には、すでに『ファウスト』誌上で発表されている「狙撃手襲来」「竹取山決戦―前半戦―」「竹取山決戦―後半戦―」のほかに、書き下ろし(だろう)「請負人伝説」が加えられているのだが、請負人といえば、当然のように哀川潤というわけで、その、零崎の大将ですらも引くほど、マンガ的であることをもオーヴァーする暴挙に、ふふ、と笑う。とはいえ、内容に関し、すこしばかり真剣に述べるならば、すべての篇で、家族というファクターに軽く触れられている。零崎一族の家族愛がもちろんそうであるし、赤神イリアの「家族を殺すって、そんなにおかしなことですか?」という問いかけやメイド仮面(!)の「私は私の家族を守る――それだけです」などの決意に含まれているものもそうであるだろうし、それから石凪萌太の「僕には夢があるんです」と語られる、彼のその後を考えると感傷的な気分にもなる、言葉のうちにも如実に表れており、じつは、そうした家族をめぐるイメージは、戯言シリーズ本編のところどころにも、また西尾の他の作品、たとえば『きみとぼくの壊れた世界』や『新本格魔法少女りすか』、『ニンギョウがニンギョウ』にも分け隔てなく介在するもので、舞城王太郎や佐藤友哉の作品に孕まれる家族の問題に注視した論考がけっして少なくはないように、それもまた三者の作家に共通する項だといえる。

・その他西尾維新に関する文章
 「栄光の仕様」について→こちら
 『xxxHOLiC アナザーホリック ランドルト環エアロゾル』について→こちら
 『DEATH NOTE アナザーノート ロサンゼルスBB連続殺人事件』について→こちら
 「するがモンキー」について→こちら
 「まよいマイマイ」について→こちら
 「ひたぎクラブ」について→こちら
 「ある果実」について→こちら
 『ネコソギラジカル(下)青色サヴァンと戯言使い』について→こちら
 『ネコソギラジカル (中) 赤き征裁VS.橙なる種』について→こちら
 『ネコソギラジカル (上) 十三階段』について→こちら
 『トリプルプレイ助悪郎――最終回「終落」』について→こちら
 『トリプルプレイ助悪郎――第五回「五々」』について→こちら
 『トリプルプレイ助悪郎――第四回「四季」』について→こちら
 『トリプルプレイ助悪郎――第三回「第三」』について→こちら
 『トリプルプレイ助悪郎――第二回「二人」』について→こちら
 『トリプルプレイ助悪郎――第一回「唯一」』について→こちら
 『ニンギョウがニンギョウ』について→こちら
 「コドモは悪くないククロサ」について→こちら
 「タマシイの住むコドモ」について→こちら
 「ニンギョウのタマシイ」について→こちら
 『新本格魔法少女りすか 2』について→こちら
 『新本格魔法少女りすか』について→こちら

 『ザレゴトディクショナル 戯言シリーズ用語辞典』について→こちら
 『総特集 西尾維新』ユリイカ9月臨時増刊号について→こちら
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | 読書(06年)
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