ときめいて死ね!!
いいや、戦って死のう。
2006年11月13日
 新潮12月号掲載。やはり、こういう長篇を掲載された分ごとで見ていくのは、無理があるなあ、と今更ながら思うのは、たとえば今回の「ディスコ探偵水曜日」第三部「解決と「○ん○ん」」の8〜11パート目にあたる〈第四回〉に満載されているイラストと謎解きによる、作中の言葉を借りれば〈すべてはこの過剰な意味の館で起こったこと〉のそのことが、では全体のなかでいったいどのような意味合いを持っているのかを、すぐさまに俯瞰することができないからで、同様に〈名探偵たちが《真相》を連打してくるせいで、俺は驚いてばかりで何の行動を起こす余裕もない。動こう、戦おうと決めた途端にこれだ。傍観者の位置から俺は微動だに許されない〉といっている語り手であるディスコ本人が、じっさいに物語の駆動へ(積極的ではないにしても)加担していないのかどうかを、このような断片をもって判ずるのは、はなはだ不用意に近しいし、水星Cの《役割》や、また〈《(最終的には)絶対に間違えない》という《名探偵》という存在は、まあたぶんそういう自己の《登場人物化》に陥りやすい人種なんだろう〉といわれている名探偵たちが、当人たちの思惑の外でいったいどれぐらい間違えているのかは、小説内部の時間においては未だ終点に達していない、現段階では、不透明にすぎる、あるいは混沌としている。が、いずれにせよ、さっきまでは生きていなかった死者たちが蘇り、〈ははっ、と水星Cが俺の隣で笑う。「いよいよ事件の解決はお前に任せられたみたいだな」と言った相手はしかし俺ではなくて〉と向けられた視線の先に〈存在すら忘れていたよ。どこにいたんだこの馬鹿〉というほどに唐突な人物が現れれば、まだなおディスコを当事者から除けておくかのような、解決の先延ばしが続くことを予感させる。

 「第三部 解決と「○ん○ん」〈第三回〉」について→こちら
 「第三部 解決と「○ん○ん」〈第二回〉」について→こちら
 「第三部 解決と「○ん○ん」〈第一回〉」について→こちら
 「第二部 ザ・パインハウス・デッド」について→こちら
 「第一部 梢」について→こちら

・その他舞城王太郎に関する文章
 「重たさ」について→こちら
 「喜びは鳥になる。」について→こちら
 「SPEEDBOY!」について→こちら
 『みんな元気。』について→こちら
 「A DRAGON 少女(ドラゴンガール)」について→こちら
posted by もりた | Comment(0) | TrackBack(0) | 読書(06年)
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